昨年5月の朝日新聞による一連の「吉田調書」スクープ報道の主な事実関係が実質的に「既報」だったことが、1月中旬発売された「朝日新聞 日本型組織の崩壊」(文春新書)の指摘でわかった。日本報道検証機構は他紙の報道などを調査し、指摘が正しいことを確認した。 朝日新聞による一連の「吉田調書」報道は、①5月20日付朝刊の「政府事故調の『吉田調書』入手 所長命令に違反 原発撤退 福島第一原発の所員の9割」、②5月21日付朝刊の「高濃度の放射性物質放出 ドライベント、3号機準備 震災3日後 大量被曝の恐れ 吉田調書で判明」、③5月23日付朝刊の「吉田氏、非常冷却で誤対応 『私の反省点。思い込みがあった』」の3本。①の5月20日付記事は「所長命令に違反 原発撤退」という主要部分に誤りがあったとして、昨年9月に取り消された。 ②の記事は、東京電力が2011年3月14日午前、福島第一原発3号機で放射性物質を人為