中国海警局の艦船が今年1月、尖閣諸島周辺を飛行する自衛隊機に対して、退去を求める警告を複数回おこなっていたことがわかった。これは習近平政権の強硬な対外姿勢を反映したものとされ、日本では中国に対する警戒感があらためて高まっている。 いっぽう、中国のより強い軍事的脅威にさらされているのが台湾(中華民国)だ。だが、中華圏の軍事の伝統を引き継ぐ台湾では、「敵」の情勢を徹底して分析することで自国を守らんとする、三国志さながらの「軍師」たちも活動している──。約1年前、私はそんな一人に話を聞いた。 空港をミサイルで破壊して…「台湾の孔明」が語る中国の侵攻シナリオと実際の可能性 記事に登場した人物は、人民解放軍研究を専門とする軍事学者で、しばしば台湾の国防白書の顧問委員にも名を連ねる淡江大学国際事務與戦略研究所助教の林穎佑(Ying Yu, Lin)氏だ。今年1月、台湾総統選の取材のために現地を訪れた私