芥川龍之介賞、三島由紀夫賞、野間文芸新人賞をすべて受賞した「三冠小説家」である笙野頼子が「文壇」からパージされつつある。 去る5月、笙野は『発禁小説集』を上梓した。版元は、長野の小さな出版社・鳥影社。収録作の初出は大半が講談社の文芸誌『群像』だったが、同社に刊行できないと拒否されたのである。それで「発禁」。作中にある「ご主張」が不可の理由として告げられた。 どんな主張か。性自認至上主義に社会が侵食されることへの批判と恐怖である。性別が自己申告で通れば脅かされるのは生物学的女性だと笙野は警告する。「女が消される」「女消運動」とまで強い表現も用いる。それは性自認にちょっとでも懸念や疑問を挟むと、「ターフ!」(TERF=トランス排除的ラディカルフェミニスト)と差別者認定され吊し上げられる風潮への抵抗である。この原稿を書いたことで私も差別者と呼ばれるであろう。 片やトランス擁護者は「TRA(トラン