シンガポールのリー・シェンロン首相は24日、訪問先のワシントンで講演し、日本と中韓両国との関係悪化について、従軍慰安婦問題や「侵略の定義」を例示し「日本は第2次大戦時代にさかのぼる問題を再び取り上げて事態を困難にしている」と批判した。慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話についての政府の検証報告を念頭に置いた発言だ。 その上で、リー首相は日本側に自制的に対応するよう求めた。 尖閣諸島をめぐる日中対立や南シナ海の領有権問題では各国での国家主義台頭が背景にあると指摘し、日本では(集団的自衛権行使の容認など)安倍政権による「普通の国」になる取り組みを挙げた。 環太平洋連携協定(TPP)交渉については「合意まで最後の段階に来ている」と早期合意に期待を表明。ただ、同時に牛肉など日本の農産物関税の扱いが課題との認識を示した。(共同)