野球における盗塁は70~80%の確率で成功しないと、チームにとってはマイナスだと言われている。仮に盗塁の「損益分岐点」なるものがあるとすれば、少なくとも70%は超えていなければならない。 「失敗した場合の損失は成功した場合の利益を上回る」。この持論で数ある攻撃の戦法の中から盗塁を除外しようとしたのが、アスレチックスGM時代のビリー・ビーンだ。 2000年代前半、ビーンはセイバーメトリクスに基づいた戦法や戦術を監督に求め、ヤンキースのおよそ3分の1の低予算ながら黄金期を築き上げた。 01年は102勝60敗、02年は103勝59敗と、2年連続で100勝を超えた。だが盗塁は、30球団ワーストの46個(02年)。内野守備コーチのロン・ワシントン(当時)によれば「(02年に)アート・ハウ監督がゴーサインを出したのは、たったの7回」。ビーンの言いつけを守った結果が、それだった。 勝負事は結果が全てであ