すべては1枚の小切手から始まった 「アーノルドとティム、こちらに来てくれますか。素敵で美しい小切手を差し上げますから」 こう言ったのは、ドナルド・トランプだ。ゴルフトーナメントの勝者に授与されるような特大サイズの小切手を持ち上げた。額面は10万ドル(約1100万円)。小切手の左上隅には、「ドナルド・J・トランプ財団」と書かれていた。 下のほうには、トランプの大統領選のスローガンである「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国にしよう)」の文字があった。 2016年2月のことだった。 これが発端だ。 トランプは、「ファイブサリヴァンブラザー・コンベンションセンター」で開かれた党の集会のため、アイオワ州ウォータールーにいた。この会場は、第2次大戦中に同じ海軍の巡洋艦に配属された地元の5人兄弟にちなんで名付けられている。彼ら5人は、ガダルカナル島でその船が沈没した