地球人の歴史 13.火器の帝国 ギリシアの火と中国の雪 717年、ビザンツ帝国の都コンスタンティノープルの城下にアラブ兵の大軍勢が姿を現した。都の南に広がる海も、無数の軍船によってうめつくされた。これは、ウマイヤ朝カリフのスライマーンが宿敵ビザンツを滅ぼすべく送り出した大遠征軍であった。 都の陸側は高さが最大17mにおよぶ三重の城壁が連なり、突破はほぼ不可能だったから、アラブ軍の攻勢は比較的弱い海側に向けられた。ところが、城壁にとりつこうとした船は一隻、また一隻と焼かれては沈み、攻撃は無惨な失敗に終わってしまう。 このときビザンツ艦隊が用いた秘密兵器が、「ギリシアの火」である。生石灰、松油、硫黄を混ぜた液体らしく、筒から噴射されると炎を発し、海面でも燃え広がり、水をかけても消えなかったという。決定的な役割を果たした最初の「火器」といってよい。 このしばらく後、中国・唐王朝のもとでは、激し
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