どんなコラム? 職業は科学ライターだけど、毎日お買い物をし、家族の食事を作る生活者、消費者でもあります。多角的な視点で食の課題に迫ります プロフィール 京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動 厚労省薬事・食品衛生審議会において10月31日、食品中の放射性物質の新しい規制値設定に向けた議論が始まった。だが、議論が始まる前に、厚生労働大臣が10月28日の閣僚懇談会で行った発言内容「許容できる線量を年間1mSvに引き下げることを基本とする」が事務局から伝えられた。その後の科学者たちの発言はどこかおざなりで、もうすっかり方針は固まっているのだなあ、と改めて感じられた。審議会という体裁はとっていても、これは政治マターの話であり、もはや科学の議論ではないのだ。 ● 食品安全委員会は、肝心のリスク評価をしなかった そもそも、食品