身体論を語る際にスポーツ選手の視点を欠かすことはできません。とりわけトップを争う選手は、いわば自分の体を誰よりも自在に操れる人材。その意見の重さはなおさらです。自在化身体セミナー第6回は、オリンピックのゴールドメダリストをゲストに招きました。柔道60kg級で3大会連続の栄冠に輝いた、日本を代表するアスリートの野村忠宏氏です。対するホストの稲見教授は、競技の頂点に立つ上で必要な体と心の関係性から、そこに至る練習法と技術による支援の可能性、世界に通用する文化を日本から広げていく方法論まで、自在化身体プロジェクトの発展につながるヒントを次々に聞き出していきます。(構成:今井拓司=ライター) 無意識の探り合い自在化身体プロジェクトの「自在化」という文言は、人は身体の多くの部分を、意識して動かすか無意識で動かすかを自在に切り替えられるという事実に由来しています。歩きスマホをしていた人が、目の前の階段