3年前の4月。ニートだった俺は海辺のとある塾で非常勤講師として採用になった。アルバイト感覚だった。 開講13年目だったが、生徒は全員で9人。塾は40人で黒字と言われているので明らかに少ない。 働き始めて半年ほどで塾長は「君は2年後の正社員や!」「君は新教室のオーナーになるで!」と言い始めた。なる気はなかったから、「いやあ」とへらへらしてた。はっきり断っておけばよかったのだ。 丁度その時期から、授業だけでなく事務作業をやるようになった。 事務仕事はサービス残業が多く、金にはならなかった。いくら働いても給料3万円で固定である。給与交渉をすると「金は後からついてくるものだ」「君が新規事業でも立ち上げて利益を上げれば自然と給料も上がる」 と言われた。理屈は判らないでもなかったが、アルバイトで、給料を3万円から4万にするのに、新規事業を立ち上げるほどの労力がいるのかというのは腑に落ちなかった。 2月
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