その日、東京全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)の大宴会場は900名もの客で超満員だった。 在日同胞の統一は韓半島(朝鮮半島)の統一の始まり。そう謳う「平和統一聯合」の創設大会が始まり、来場者たちは快哉を叫んだのだが――会場で取材していた写真家でジャーナリストの伊藤孝司氏はすぐに違和感を覚えたという。 「在日コリアンのための平和団体だと聞かされていたのですが、主催者の挨拶などに『真の愛の精神』『天意に従う』という宗教用語が繰り返し使われていて、日韓トンネルの話まで出てきたところで、『これは統一教会(現世界平和統一家庭連合)傘下の団体だ』と気付きました」 伊藤氏があらためて大会パンフレットの来賓をチェックすると、統一教会の幹部(当時、以下同)や統一教会傘下の鮮文(ソンムン)大学総長などの名前があった。 「驚いたのは、自民党と民主党(当時)の代議士3人が壇上に並んでいたこと