低コスト化で岐路に立つM-Vロケット(2)〜失敗が生かされない設計の裏に旧組織からの確執 旧宇宙開発事業団(NASDA)系の第1段に、旧宇宙科学研究所(ISAS:現在の宇宙科学研究本部も同じISASという略号を使っている)系の第2段、第3段というM-Vロケットの低コスト化案は、かつてNASDAが開発した失敗作「J-I」と全く同じである。まっとうに考えれば、筑波のロケット開発グループは問題点を理解しているはずだ。 それでもSRB-A流用を推す背景には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)内の旧NASDA関係者の間に、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県・肝付町)のM-V発射設備を移転し、種子島宇宙センターにロケット打ち上げを一元化したいというという思惑があるためだ。表向きの理由は、施設維持運用コストの削減だが、その奥には1960年代以来の旧文部省と旧科技庁との確執が存在する。 しかし、内之浦の発