テキスト入力以外で立石さんが開発当初に掲げた機能は、(1)4インチ液晶ディスプレイ、(2)折りたためること、(3)乾電池2本で70時間以上稼働すること――だった。このうち、乾電池2本で70時間以上だけはできなかったが、ほかは実現した。電池は取り替えることもできるし、「優先度に応じて決断した」というわけだ。 一方、開発途中に悩んだこともある。通信機能やスケジューラなどの機能を盛り込みたいという、ほかの部署の“外圧”や、自分自身の“欲求”だ。結果から言えば、立石さんはこうした外圧や欲求をはね退けた。「コンセプトからずれる要望は辛かった。ですが、ポメラが何するものか問われたときに『テキストを入力するものです』と答えたかったのです」。ポメラはテキスト入力だけ――このシンプルなコンセプトが最大の特徴であることを立石さん自身が熟知していたのだ。 立石さんはこう続ける、「携帯電話は十徳ナイフ」だと。多機