福島第1原発事故の処理などで経営が悪化している東京電力に対して政府が検討している資本注入を巡り、経営の自由度を確保したい東電と、同社の経営体質に根強い不信感がある政府との間で、せめぎあいが続いている。政府は経営に強く関与して、経営合理化や迅速な賠償を進める狙いだが、東電は経営権を死守する構えを崩さない。政府内にも強い経営関与には慎重論が残り、攻防の収束は見通せない。【野原大輔、和田憲二】 「新生東電に生まれ変わろうという意思が全く示せていない、というのが私の今の評価だ」 枝野幸男経済産業相は10日の閣議後会見で、いらだちを隠さなかった。原子力損害賠償支援機構から8900億円の賠償資金支援を受けながら、賠償支払いが迅速に進まないことや、企業向け電気料金の値上げを「事業者の権利」(西沢俊夫社長)として今年1月、唐突に発表したことなどが背景にある。 枝野経産相や機構は「議決権のない資本注入は単な