「為替の円安が進んでいるのに輸出が伸びない」「貿易収支が改善しない」などと指摘する論評がある。そうした見解について考えてみよう。 まず、2011年12月~12年11月の1年間を「アベノミクス前」、12年12月~13年11月の1年間を「アベノミクス後」とし、それぞれ1年間における1カ月平均の数字でアベノミクス前後のデータを押さえておこう。 貿易輸出額は「アベノミクス前」が5・2兆円で、「アベノミクス後」が5・5兆円、輸入額は「前」が5・6兆円、「後」が6・3兆円であり、貿易収支は「前」が0・4兆円の赤字、「後」は0・8兆円の赤字である。 貿易サービス収支は「前」が0・7兆円の赤字、「後」が1・0兆円の赤字。所得収支は「前」が1・2兆円の黒字、「後」が1・4兆円の黒字。経常移転収支は「前」が0・1兆円の赤字、「後」が0・1兆円の赤字だ。経常収支は貿易サービス収支、所得収支、経常移転収支の和なの