東日本大震災では大規模な通信障害が人々を苦しめた。苦い教訓を踏まえ通信各社は、この10年で通信網の強化に努めてきた。陸から海から空から。あの手この手でつながる仕組みを構築している。 携帯電話は救援・救助活動や避難生活を支える「命綱」だ。だが東日本大震災では、基地局の倒壊や長時間の停電、基地局までの伝送路の切断などにより、携帯電話事業者各社の通信サービスが一斉に止まった。 総務省によると携帯電話とPHSは最大約2万9000の基地局が機能を停止し、固定電話は最大約100万回線が不通となった。これを教訓に各社は「つながる」ネットワークを維持するテクノロジーを磨いてきた。 代表的な取り組みの1つが多彩な臨時基地局の開発だ。災害発生時には陸・海・空の様々な場所で臨機応変に基地局を配置し、通信が途絶えた地域をエリア化する。アンテナやパワーアンプなど基地局を構成する機器の小型化が進んだことから可能になっ