15年前、わたしは今より、建設的な人間だったと思う。 投げやりなところはあったが、未来には、いいことが必ずあると信じていた。 刹那的なところ、退廃的なところが、年々増してゆく。 世の中にポジティブな思想がたくさんあふれていて、そうありたいと思うのに、 いい人でいたいと思うのに、 気づけば毎日、目に入るもののほとんどが嫌いだし、 簡単に言えば、うんざりしている。 未来のことは、考えたくもない。 15年前、わたしは、いつか高いブランドのバッグを手に入れたいと思っていた。 いつか、これだと思うものが見つかったら、買おう。 そして、大事に使おうと思っていた。 そう思ってから15年の間、 自分よりもぜんぜん若い人、あとからデビューした人、 みんな、当たり前のようにブランドバッグを持っていた。 「いつか」なんて思ってたけど、値段を見ると、とても買えなかった。 度胸がなくて、怖くて、一生ものなんて決めら