「出前」と聞いてどんな配達員や料理を思い浮かべるかで世代がわかるかもしれない。そもそも出前では通じず「フードデリバリー」と言うべき? 江戸時代から今日まで進化してきた東京の出前文化について、世界中の知られざる事象を紹介する米メディア「アトラス・オブスキュラ」が駆け足で振り返る。 徳川幕府が日本を治めた江戸時代、首都の江戸はおよそ100万人が暮らす、地球上で最も人口の多い主要都市に発展した。 社会が産業化するとき、フードシステムもそれに順応しなければならない。そこで登場したのが「出前」だ。できたて熱々の食事を高く積み上げ、担いで江戸の通りに威勢よく飛び出し、腹ぺこの大衆に届けた配達人のことだ。 「要するに、江戸は人口密度がとても高い都市で、そこには極めて発展した資本主義経済がありました」と言うのは、米ラトガース大学で日本と東アジアの歴史を教えるニック・カプラー准教授だ。『岐路に立つ日本─安保