「オレが胸張ってラップすることが『夢はかなう』というメッセージになる」と語るANARCHY=鈴木好之撮影ラッパー鬼 貧困や犯罪、投獄など苛烈(かれつ)な実体験をラップする新世代の日本人ラッパーがゼロ年代以降、相次いで登場し、「下流」の現実をつづったリアルな歌詞が共感を呼んでいる。1970年代に米国の貧民街で生まれたラップが、日本でも、格差の広がりを背景に、ストリートに根ざした表現として、存在感を増している。 ■「貧乏 環境の悪さ 全部プラス」 「少年院で見るテレビにZEEBRA(ジブラ)/消えかけたろうそくに火をつけた/教官にばれないように書くリリック/自分の胸に響く」(「K.I.N.G.」) 2日未明、東京・渋谷のクラブにラッパーANARCHY(アナーキー)が姿を現すと、数百人の聴衆が拳を突き上げ、大歓声で出迎えた。この日歌った「K.I.N.G.」の歌詞には、彼の人生が色濃く反映さ