今から約35年前、「アドバタイジング・バード」という題で個人誌に書いた、断片的な序章のようなものが最初です。プロの作家になる前でした。その後、僕が編集長をやっていたデパート業界誌でも書き、さらに短編にして文学賞に応募しましたが落選しました。 1987年から「すばる」での連載でいよいよ腰を据えて書こうと思った。1年間の予定でしたが話が終わらず延長して2年半に。編集者が味方をしてくれて「いいですよ」と。今は故人ですが、育ての親ですね。 広告が過剰になり、広告で世の中が汚染される世界に焦点をあてました。「すばる」連載の頃はものすごいバブル景気。あらゆる業種の広告合戦が激しかった。予算も使い放題の企業や政府が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し、広告が世相をリードしていた時代。消費者を幻惑する広告という仕掛けがさらに進化していったら、生物をも媒体に使う広告戦争の時代が来る。商業主義のあげく闘い合い、殺