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ブックマーク / honz.jp (154)

  • 「鳶」兼「写真家」 『解業』 - HONZ

    独自の視点で、質の高い写真集をいつも紹介してくれる出版社、赤々舎。今度は、「鳶」として日を駆け巡りながら、休みを利用して撮影をする「写真家」の作品を刊行するという。しかも、なんと1年間、毎月、月刊体制で連続刊行するとのこと。見れば強烈な生命力を感じる写真が並ぶ一冊だ。撮影したのは鈴木育郎さん、1985年生まれ。いったいどんな人なのだろう。 「この鈴木さんの撮る、べ物の写真がたまらないんですよ」 そう熱を込めて語ってくれたのは赤々舎の棚橋万貴さんだ。場所は鎌倉、毎年この月に開かれる「かまくらブックフェスタ」でのこと。 鎌倉駅から歩いて10分ほど、江の電がガタンゴトンと横を走るカフェで開かれるこのブックフェアは2015年で5回目。鎌倉の出版社「港の人」主催で毎年この時期に開かれるそうで、個性的な出版社や出版人が集う。縁があり出かけたのだが、赤々舎の写真集は数冊持っており、「これはチェックせ

    「鳶」兼「写真家」 『解業』 - HONZ
  • 人、かくもたやすく悪魔になれり 『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』 - HONZ

    「あなたも悪魔になってしまう可能性がある。」と言われても、自分は大丈夫だ、と思う人がほとんどだろう。しかし、このを読めば考えが変わるに違いない。いや、このを読んで考えを変えたほうがいい。 1971年におこなわれた『スタンフォード監獄実験』の責任者フィリップ・ジンバルドーが、その全貌とその後の展開を著しただ。きわめてシンプルな実験である。夏休みに大学生のアルバイトを募り、くじ引きで看守役と囚人役に振り分ける。そして、二週間にわたってスタンフォード大学心理学部の地下に設けられた模擬監獄に閉じ込める。目的は、刑務所における囚人と看守の心理状態の観察。 参加したのは、専門家によって心理的・精神的に正常であると認 められた大学生。くじびきで囚人に9名が、看守に9名が割り振られた。看守は3名ずつが三交代で「勤務」にあたる。かなり高度とはいえ、いわば「監獄ごっこ」である。なんだそんな実験か、と思わ

    人、かくもたやすく悪魔になれり 『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』 - HONZ
  • 一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 - HONZ

    一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 趣味でも仕事でもいい。 長く一つのことを継続的に行なっていると、そこで覚えた技術、感覚、発想などがよく似た別の分野や、あるいはまったく異なる場面でも「応用」できることに気がついたことがないだろうか。 自分の例を出せば、長年レビューを書いてきた経験が、職であるWebプログラムの問題解決や、設計思想に影響を与え、逆にプログラムを学んだことがレビューで情報をどのように整理し、展開すべきなのかのヒントにもなることが何度もあった。これまではそうしたショートカットを「ラッキィ」という程度にしか捉えていなかったが、書を読むとそうした「ラッキィ」な状態を意図的に引き起こすことができるのだと理解できるようになった。 書『習得への情熱』は、かつて映画『ボビー・フィッシャーを探して』のモデルとなり、

    一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 - HONZ
  • わたしたちの世界は、わたしたち自身だ『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』 - HONZ

    作者:アンディ・クラーク 翻訳:呉羽 真、久木田 水生、西尾 香苗 出版社:春秋社 発売日:2015-07-24 「サイボーグ」といえばまず真っ先に、義体が当たり前になった近未来世界を描く攻殻機動隊シリーズや、そのままずばりタイトルに入っている石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』シリーズに代表されるイメージを思い浮かべる人が多いかもしれない。その特徴を一つ上げるならば、生身の人間ではなく一部だったり全体だったりが機械の身体に置き換わっていることだろう。 書が提示するサイボーグ観 ところが書が提示するサイボーグ観はアニメ・漫画的な「身体のどこかが機械に置き換わったもの」とは大きく異なっている。そもそも、元々「サイボーグ」が意味するところは、「サイバネティックな有機体」あるいは「サイバネティックな方法でコントロールされた有機体」を表す略語であり、『それは、人間─機械間の融合という考え方と

    わたしたちの世界は、わたしたち自身だ『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』 - HONZ
  • 『本を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 - HONZ

    を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 あなたは今この文章を読んでいる。 あるいは、こんな冒頭に書かれている文章はすっ飛ばして先に重要な・核心的な部分だけ読もうと、はなから無視しているかもしれない。はたまた、たしかに目に情報を入れてはいるものの、文章が脳の中で意味を結ぶ前に先へ先へと進もうとしているかもしれない。かように、「文章を読む」とひと言でいっても、そのアプローチの仕方は人それぞれまったく異なってくるものだ。じっくりと読む人もいれば、ぱっとみて読み飛ばす場所を判断する人もいる。 文章を読む、殆どの場合そんなことは問題にはならない。ただ書いてある文章を読み、その意味するところを理解していけばいいのだと。だが当にそれだけだろうか──、「読む」というのは、もっと多様で、人それぞれ違った過程を歩むものなのではないだろうか。そ

    『本を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 - HONZ
  • 全米が泣きそう『紋切型社会』 - HONZ

    「若い人は、当の貧しさを知らない」「会うといい人だよ」「うちの会社としては」「誤解を恐れずに言えば」……う、言っちゃってるよ。使っちゃってるよ。そう自らを反省してしまうあなたこそ読むべき一冊。さて、「言葉で固まる現代を解きほぐす」とはどういうこと? 決まりきったフレーズがいかに思考を硬直化させているか。よくあるフレーズを例に挙げて、それぞれの言葉の背景にある社会の症状を読み解く。内容を書くとそうなる。だから、展開して行くストーリーがあったり、衝撃的新事実が明かされたり、というものではない。むしろ、テレビを見ていて感じていた違和感を、頭のいい毒舌の友達よ、シャキッと小気味よく斬ってくれてありがとう。そういう類いのだ。小田嶋隆さんのコラムと、そういえば読後感は似ているかもしれない。 話題の一冊で、すでに書評も数多く出ているのでご存知の方も多いだろう。また、刊行が4月ですでに3刷とのことで、

    全米が泣きそう『紋切型社会』 - HONZ
  • おもろすぎっ!!『本当にあった医学論文』 - HONZ

    学会の書籍売り場で愕然とした。私としたことが完全に見落としていた。HONZの医学担当(そんなのないけど)として失格である。こんなおもろいがあったんや。それも、昨年11月発売以来、3ヶ月で三刷りと、専門書にしては爆発的な売れ行きだ。 発刊から半年なので、HONZで紹介するには時間がたちすぎているしなぁ、と思ってふと横を見ると、『前作「当にあった医学論文」大好評につき、早くも「2」の刊行を呈した1例』と、医学関係の学会でよくある症例報告のタイトルみたいな帯をつけたが。ということで、二冊まとめて紹介いたします。 タイトルの通り、医学専門誌に掲載された論文が、79編+75編、二冊あわせて154編も紹介されている。いやまぁ、ほんまによくこれだけ集めたものである。どれも、おもろい。紹介されている論文は、おおきく二通りに分類される。ひとつは、なんでそんなことを調べたくなったんやという研究。もうひと

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

  • 私とともに在る人と 『漢方水先案内 医学の東へ』を読んで――客員レビュー by 上橋 菜穂子 - HONZ

    最新作『鹿の王』で「2015年屋大賞」を受賞された、上橋 菜穂子さん。西洋医学と東洋医学の背景にある世界観の違いを描き出した筆致は「医療サスペンス」のようとも言われ、「日医療小説大賞」なども受賞されている。そんな上橋さんをして「最近、最も夢中になって読んだノンフィクション」と言わしめたのが、『漢方水先案内――医学の東へ』である。彼女は書をどのように読み、そしてどんな所に惹かれたのか? 読み始めたとたん強烈にひき込まれて、貪るように読んでしまうというのがあるものですが、津田篤太郎先生の『漢方水先案内――医学の東へ』(医学書院)は、私にとっては、まさにそういう一冊でした。 生死については蚊帳の外 病と免疫が見せてくれるものに、私は最近、心惹かれています。このふたつは、人の身体というもの、そして、生命というものの有り様をくっきりと見せてくれますし、「私」とは何かということや、生き物の多様

    私とともに在る人と 『漢方水先案内 医学の東へ』を読んで――客員レビュー by 上橋 菜穂子 - HONZ
  • 『境界の民』 難民、遺民、抵抗者。彼らには”近代”が訪れなかった - HONZ

    今、世界のルールは動揺している。ここ数ヶ月だけを見ても、フランスの同化主義に相容れない移民二世によるシャルリー・エブド襲撃テロ事件が起き、「イスラム国」は国民国家体制をあざ笑うかのようにイラクからシリアにまたがって台頭してきている。昨年にまで遡れば、スコットランドでイギリスからの独立の是非が問われたり、ウクライナで内戦が勃発したのも記憶に新しいことだろう。 これらの出来事は、いずれも国民国家体制の「エラー部分」に弾き出されてしまったような少数の人々が、世界を揺るがしたということに共通点がある。 近代の幕開けを象徴する国民国家体制が初めて成立したのは17〜18世紀のヨーロッパでのこと。アジア諸国に至っては、19世紀後半から20世紀になってからの出来事であり、その歴史はまだ浅い。 それゆえ、当たり前のように感じているこの仕組みにも、境界域に目を向ければ意外と大きなスキマが見つかる。既存の国民国

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  • 日本を愛したスパイ『ドクター・ハック 日本の運命を二度にぎった男』 - HONZ

    書影を見て、「ドクター・ハックって、あのハックか」と思わず手に取った。 著者は『満州国皇帝の秘録』『トレイシー−−日兵捕虜秘密尋問所』そして『四月七日の桜−−戦艦「大和」と伊藤整一の最後』の中田整一氏だ。面白くないわけがない。 1914(大正3)年)11月、日英同盟により第一次世界大戦に連合国側として参戦した日は、中国におけるドイツ租借地・青島でドイツ軍と戦闘を行う。激戦の末、ドイツ軍ワルデック総督は降伏し、約5000名のドイツ兵が捕虜として日の収容所に送られた。そのうちのひとつが、千葉県習志野俘虜収容所だ。 習志野収容所長は西郷隆盛の長男であった西郷虎太郎。父の死以降、窮乏を極めていたのを明治天皇の配慮で救われ、ドイツ士官学校に留学、この地位についたのだ。そして、ドイツへの理解が深く、また敗残者の辛さを身に沁みて知った西郷の元で、習志野の収容所は活力が溢れた場所となった。捕虜たちが

    日本を愛したスパイ『ドクター・ハック 日本の運命を二度にぎった男』 - HONZ
  • 『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』 - HONZ

    1978年、日中平和友好条約が締結された。その際の政治の駆け引きに利用されたひとりの軍人、それが深谷義治さんだ。深谷さんは、終戦時、当時の上官から「任務続行」の命を受ける。以後、13年間中国に潜伏、中国当局に逮捕され、獄中生活は20年4ヶ月にも及んだ。拷問を受け、生死をさまよい、家族が迫害にあっても守り続けたもの、それは一体何なのか。書は、義治さんの次男、深谷敏雄さんが6年の歳月をかけて書き上げた一冊だ。 敗戦国である日が終戦後、「任務続行」という命令をだし、戦勝国である中国にスパイを潜入させたことは、国際法に違反する行為だった。しかし、特殊任務に従事してきた義治さんは、戦中にしろ終戦後にしろ、上官の命令に従いそのまま実行することは、決して辞することの出来ない使命であったのだ。そのため「日のスパイ」という公安からの嫌疑を認めれば解放を約束されたにもかかわらず、義治さんは日国名誉のた

    『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』 - HONZ
  • 『ヒトラーランド』簡略化されたプロットを剥いだ先に見える物とは? - HONZ

    後世の人間が歴史を見るとき忘れがちなことがある。それは自分たちが神の視点を持っているということだ。私たちが過去を眺めるとき、複数の点でしかない出来事が、やがて一の線となり繋がっていくさまを、俯瞰的に眺める事ができる。私たちは往々にしてそのことに気づかないものだ。だが、考えてみれば、今を生きる私たちが、いま起きている政治的決断や紛争がどのような帰結を迎えるのかを知ることが出来ないように、当時を生きた人々も、自分たちの決断や、リーダーの行動がどのような終焉を迎えるのかを知ることはできないのだ。 著者の言葉を借りれば、「ヒトラーは悪の権化といった、抽象的な存在ではなく、現実にいる政治家」だったのだ。書はヒトラーとナチスの台頭を当時の人々の視点で、それもドイツ人ではなく、在独アメリカ人の視点を私信、著作、記事などを丹念に読み込むことで紐解いていこうとする意欲作だ。 1920年代のベルリン。アメ

    『ヒトラーランド』簡略化されたプロットを剥いだ先に見える物とは? - HONZ
  • な、なかったんですかっ?! 『ニュートンのリンゴ、アインシュタインの神 : 科学神話の虚実』 - HONZ

    毎年、年末ぎりぎりに高校の同級生との忘年会がある。過去10年以上にわたっておこなわれているのであるが、デジャヴみたいに同じような話が繰り返される。しかし、自分のことが語られていても、自分では覚えていないこともあるし、自分の記憶と違っていることもよくある。 自分が正しいのか、友人たちが正しいのか。もちろん、自分が正しいと思いたいけれど、よってたかって間違えてると言われると、やっぱり自分の勝手記憶のせいなのかという気がしてしまう。いまを生きる自分の記憶ですらそうなのだ。過去の歴史上の人物について書かれたことの何が正しいかとなると、なおさら難しい。 ガリレオ、ニュートン、アインシュタインなど、歴史的な科学者の偉大な発見についてのエピソードをめぐるである。副題にある『科学神話の虚実』が示すように、それらの『神話』が史実を反映しているかどうかが、一次資料を読み解くことによって明らかにされていく。

    な、なかったんですかっ?! 『ニュートンのリンゴ、アインシュタインの神 : 科学神話の虚実』 - HONZ
  • 珍書の時代 『ヘンな本大全』 - HONZ

    「珍書」。それは、気がつけばいつのまにか成立していたよくわからないジャンル。「好きが選んだ、思わず笑える怪書ガイド」とのうたい文句の通り、愛すべき奇書150冊を取り上げたへの偏愛ぎっしりの一冊だ。珍書時代がやって来た! のか? とにかくはの海へダイブ! 毎年8万という点数の新刊が生み出される日の出版ワールド。「巻頭言」で“珍書プロデューサー”ハマザキカク氏が書くように、それだけの数があると、確かに「何でこんなテーマで1冊のになったんだ?」「いったい誰がこんなの読むんだよ?」といぶかるが書店に並ぶのも不思議ではない。 一方で、1点あたりの出版部数が少なくなるがために、潜在的な読者が数百人でしょう、という挑戦的なテーマのが刊行される可能性も出てくる。読みたいが増える時代でもあり、作り手からすると自由にを出せる時代でもある、というわけだ。厳しくなる側面につい目が行きがちだけれど

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  • サイコパスと診断された科学者が語る『サイコパス・インサイド』 - HONZ

    サイコパスの研究者が、サイコパスであったーーこの衝撃の事実を皮切りに物語は始まる。科学者視点による所見と自分自身のこれまでの体験、二つの視点が交錯する中で際立っていたのは、両者の間に大きな乖離が存在するということであった。 サイコパスの定義とは今日の科学の進展をもってしても、未だ不確かなものである。一般的に「精神病質」と表されるサイコパスの特徴は「平板な感情の動き」に代表される対人関係における共感性の欠如である。映画『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に登場するレクター教授のような、古典的なサイコパス像を思い出される方も多いだろう。 だが決して凶悪な殺人犯だけを指すわけではなく、人を思い通りに操縦しようとしたり、嘘に長け、口がうまく、愛嬌たっぷりで、人の気持ちを引きつけたりといった特徴も含むものとされる。むろん著者は人殺しや危険な犯罪を犯したことなどなかったし、それどころか科学者として成功し、幸

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  • 『宮脇檀の住宅設計 カラー・改訂版』 - HONZ

    一戸一戸は住み手の欲望を満たすべく、あらゆるメーカーの部材と部品の満艦飾となって妊を競い、隣家の日照を無視せざるを得ない狭小敷地に法を犯していっぱいに作り、4mに満たない道路ギリギリに、コストが安いというだけで味気ないブロック塀を立て列ね、ミニ開発と称する倭小住宅が人びとの持家意識にこびてのさばり、公園も緑もほとんどなく、子供たちは狭い道いっぱいに走り去る車におびえて室内に閉じこもり、主婦たちは井戸端会議の場も持てず隣り近所との交際は減る一方。 …中略… 火災時に消防車も進入できぬ車道の両側にこんな百鬼夜行の住宅が埋め尽くす  それが日住宅地である ※『街並みを創る 戸建住宅による住環境形成の理論と手法』(丸善 1983)まえがきより 住宅設計の第一人者と呼ばれた宮脇檀氏が語った当時の言葉は手厳しいものだった。彼は、美術館、庁舎、銀行、学校、店舗となんでも巧みに設計し、どれも人々の注目

    『宮脇檀の住宅設計 カラー・改訂版』 - HONZ
  • 『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ

    書を読むまで私はイスラム国が数多くあるジハード集団のひとつだと勘違いしていた。今、中東でおきている出来事を理解する上で、間違いなく書は読んでおくべき一冊だ。 まず驚かされることは、イスラム国は自爆テロ一件ごとの費用にいたるまで詳細に記録し、高度な会計技術を駆使した、収支報告書を作成しているという点だ。無論、過去にも「テロ」という行動を巧みに使い、経済的に成功してきた武装組織は存在する。PLOなどもそのひとつだろう。 しかし、彼らがこれらの武装組織と違う点は、シリア内戦の混乱を利用し巧みに経済的な自立を果たした点にあるという。多くのテロ組織は複雑な国際関係の中で、いずこかの国々から経済的な援助を受け、いわゆる代理戦争の「駒」として行動している。当初はイスラム国もそのような組織のひとつだったのだが、彼らは援助された資金を、援助国が望む勢力の攻撃に使用せず、自らの国家建設のために使用していた

    『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ
  • 『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ

    ヒトとその他の動物を隔てるものは何か?それを様々なアプローチで描き出していくのが、書『現実を生きるサル 空想を語るヒト』である。人間らしさの根源を突き詰めることは、すなわち人間と機械の共生が叫ばれる現代社会の将来を占うことにも、つながっていくのかもしれない。 ビックデータやIT関連書籍の翻訳を数多く手がけられ、また「シロクマ日報」などのブログでも知られる小林 啓倫さんに、書のレビューを寄稿いただきました。(HONZ編集部) 企画や営業、開発など、世の中には無数の仕事がありますが、その大部分は「人間」を相手にしています。開発の仕事でも、開発されるモノが人間によって使われるのであれば、間接的にであれ人間を相手にしていると言えるでしょう(だから人間工学のような研究が存在するわけです)。そう考えると、私たちは日々仕事を通じて、人間とは何か?という問いを突きつけられているのではないでしょうか。

    『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ