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ブックマーク / univ-journal.jp (21)

  • 全ゲノム解析で日本人の遺伝的起源と特徴を解読

    理化学研究所、静岡県立大学、東京大学の研究で、大規模な日人の全ゲノムシーケンスから日人集団の遺伝的構造などが明らかとなった。 これらの結果は、日人の祖先に関わる縄文系、関西系、東北系の三つの源流の起源を示唆し、「縄文人の祖先集団、北東アジアの祖先集団、東アジアの祖先集団の三集団の混血により日人が形成された」という三重構造モデルを支持するものである。 次に、現生人類(ホモ・サピエンス)の最も近縁とされる古代型人類ネアンデルタール人やデニソワ人から受け継がれた遺伝子領域を調べた。ネアンデルタール人由来の領域が日人集団における2型糖尿病、冠状動脈疾患、安定狭心症、アトピー性皮膚炎、グレーブス病、前立腺がん、関節リウマチなどの病気と関連すること、デニソワ人由来の領域も2型糖尿病と関連することを見出した。 最後に、日人の遺伝子において進化的選択を受けた可能性のあるゲノム領域を特定したとこ

    全ゲノム解析で日本人の遺伝的起源と特徴を解読
  • 長時間労働は睡眠と食事を悪化させてメンタルヘルスに悪影響を及ぼす

    長時間労働がメンタルヘルスに悪影響を与えるといわれるが、残業自体ではなく、長時間労働による睡眠不足と不規則な事がメンタルヘルスを害していることが、東京医科大学精神医学分野の渡邉天志医師、志村哲祥医師らの研究で明らかになった。 その結果、長時間労働は心身のストレス反応に直接影響しないことが分かった。しかし、長時間労働が事の不規則さや睡眠時間の短縮を招き、それらがうつや心身のストレス反応を引き起こしていた。 研究グループは労働時間の短縮が実現しても、睡眠不足や不規則な事が続けば症状が改善しないが、長時間労働が続いても睡眠時間が確保され、事が規則正しく摂取できれば、メンタルヘルスへの影響を限定的な範囲に抑えられるとみている。 ただ、今回の研究では因果関係の証明はできていない。研究グループは後続の研究で因果関係の解明を期待している。 論文情報:【International Journal

    長時間労働は睡眠と食事を悪化させてメンタルヘルスに悪影響を及ぼす
  • 自閉症原因は胎児期の造血系細胞の異常、神戸大学が解明

    神戸大学大学院の内匠透教授らの国際共同研究グループは、特発性自閉症の原因が胎児の時の造血系細胞のエピジェネティック(注)な異常であり、その結果が脳や腸に見られる免疫異常であることを明らかにした。 自閉症発症における免疫障害の重要な発達段階と免疫系の広範な関与を考慮し、研究チームは共通の病因が広範な免疫調節不全の根底にあり、異なるタイプの前駆細胞にあると仮定した。免疫細胞のもとになる血球系細胞に注目、さらに、胎児の時の造血に関わる卵黄嚢(YS)と大動脈-生殖腺-中腎(AGM)に焦点をあてて解析を行った。 研究グループは、自閉症モデル動物のBTBRマウスを用いてAGM血球系細胞を解析し、免疫異常の病因としてHDAC1(ヒストン脱アセチル化酵素1)を同定した。また、YS血球系細胞の解析により、ミクログリア(中枢神経系グリア細胞の一つで中枢の免疫を担当)発達異常の病因として同じくHDAC1を同定し

    自閉症原因は胎児期の造血系細胞の異常、神戸大学が解明
  • 世界初、石油の代替となるバイオ燃料を合成可能な植物プランクトンを発見

    海洋研究開発機構(JAMSTEC)、豊橋技術科学大学、生理学研究所のグループが、石油と同等の炭化水素(炭素数10から38までの飽和炭化水素)を合成する能力をもつ植物プランクトンを世界で初めて発見した。 一方、今回明らかになったのは、ハプト藻の一種であるDicrateria rotunda(D. rotunda)が持つ、炭素数10から38までの一連の飽和炭化水素合成能力だ。これは、ガソリン(炭素数10から15)、ディーゼル油(炭素数16から20)、燃料油(炭素数21以上)などに相当する炭化水素をつくる能力といえ、このような生物は過去に報告例がない。また、Dicrateriaは広く生息する植物プランクトンであり、グループが最初にこの能力を見出した北極海株ARC1だけでなく、微生物株保存機関に保管されている他10種のDicrateria属の株からも同様の合成能力が確認されたことから、種に共通

    世界初、石油の代替となるバイオ燃料を合成可能な植物プランクトンを発見
  • 生物の時間スケールはガラスに似た仕組みで決まっている 東京大学

    一般に生体内の化学反応は1秒以下の時間スケールで進む。一方、我々生物が生きて行動する時間スケールは、例えば体内時計であれば約十万秒ほどであり、その間にはとても大きな隔たりがある。今回、東京大学の研究者らは、多くの生化学反応が集まって構成されているに過ぎない我々生物が、この溝を埋めているメカニズムの一つを明らかにした。 これは、反応が進めば進むほど、酵素と結合しやすい状態の分子が増えていく一方で、それらが酵素を独占する状態になってしまうために、残りの分子が酵素とほとんど結合できず、全体として反応が遅くなるためだという。さらに、この生化学反応における分子の数の変化を調べると、興味深いことに、その時系列は、ガラス中の分子の運動に非常に近いことがわかった。 そこで、この生化学反応のモデルを深く調べたところ、その中に、ガラスを支配していると考えられている仕組みの一つと非常によく似た構造が潜んでいるこ

    生物の時間スケールはガラスに似た仕組みで決まっている 東京大学
  • iPS細胞から万人に輸血可能な“ユニバーサル”血小板を作製

    血小板輸血患者の5%程度に起こる「血小板輸血不応症」では、血小板の型(HLAクラスⅠ)が合致しないと拒絶されてしまう。日人の約9割をカバーするには140種類のHLAクラスⅠが必要となるため、HLAクラスIの型を問わず輸血可能な“ユニバーサル”血小板製剤の開発が検討されてきた。 研究者らはこれまでに、ヒトiPS細胞から血小板を生み出す巨核球を誘導することに成功し、さらに自己複製が可能かつ生体外で凍結保存も可能な不死化巨核球株(imMKCL)の作製に成功してきた。そして今回、ゲノム編集によりHLAクラスIの構成分子を欠失させたiPS細胞からimMKCLを作製することで、HLA欠失iPS血小板を製造することに成功した。 HLA欠失iPS血小板は、HLA欠失操作を行っていないiPS血小板と品質や機能が同等であることが確認されたうえ、新たに確立したヒト免疫細胞を持つマウスモデルで血小板輸血不応症

    iPS細胞から万人に輸血可能な“ユニバーサル”血小板を作製
  • 究極の対物レンズの設計に東京工業大学が成功

    東京工業大学の虎谷泰靖大学院生(当時)らの研究グループは、高い開口数でありながらすべての収差を補正した対物鏡「虎藤鏡=TORA-FUJI mirror」の設計に成功した。 しかし、この顕微鏡の視野は数ミクロンと細胞のサイズよりも1桁小さいため、生体系への応用が困難であった。そこで、虎谷修士課程学生(当時)が新しい対物鏡の設計に取り組んだ。その結果、優れた光学性能を維持したまま、視野を面積比で600倍に広げることで、生物系の観察に適した虎藤鏡(注)の設計に成功した。この成功の鍵は、対物レンズの設計では非主流の鏡だけで構成された反射光学系を用いたことによる。 設計に成功した虎藤鏡は、優れた耐環境性能(極低温から室温までのあらゆる温度、強磁場)、高い開口数(レンズの性能を表す値で0.93を達成)、広い視野(視野直径72μm)、理想的な結像からのズレである収差(単色収差、色収差)の補正を並立させた

    究極の対物レンズの設計に東京工業大学が成功
  • 「クモの糸」の強さの秘密、慶應義塾大学などが解明

    慶應義塾大学の河野暢明特任講師らの研究グループは、Spiber株式会社のチームと共同で、オニグモのゲノムを決定し、世界で初めて多様なクモ糸タンパクとそれに関連する遺伝子の全貌を明らかにし、糸遺伝子の系統解析に成功した。 オニグモ(コガネグモ科)は円形の網を張るクモの仲間で、自身をつるすとき、移動や卵を包むとき、餌を捕まえるときなど、それぞれ強さや伸びやすさが異なる糸を使う。さらに、一般にクモのゲノムサイズはヒトより大きい。ゲノム情報が膨大になることから、今回ゲノムシーケンスと遺伝子探索技術を新たに整備して、オニグモの複雑な糸遺伝子の探索を試みた。その結果、精度の高い長鎖DNA配列情報を大量に取得し、最終的にゲノム決定に成功した。 また、糸遺伝子の配列は非常に高度なリピート構造(同じ配列が何度も出現する構造)をとる。そこで最新のシーケンシング技術と独自開発の解析アルゴリズムを組み合わせて、全

    「クモの糸」の強さの秘密、慶應義塾大学などが解明
  • 愛情ホルモン「オキシトシンより」も長時間作用・高効果が見込める化合物の合成に成功

    金沢大学、大阪大学、東北大学、北海道大学の共同研究グループは、社会性行動の調節に重要なホルモンであるオキシトシン(OT)の類似体を有機合成し、マウス体内で天然に作られる内在性OTよりも長期間作用し、効果も大きい化合物を新たに見出した。 そこで、共同研究グループは、OTの環状構造を作る-S-S- 構造を-SC-に変えたOT類似体であるカルベトシンを基に、7番目のアミノ酸「プロリン」にフッ化ベンゼン化グリシン、またはヒドロキシプロピル化グリシンを付加したOT類似化合物を合成し、それぞれ「化合物2」と「化合物5」とした。興味深いことに、これらの化合物は、OTよりも強力で、効果持続が見込めることが検討により明らかになった。 成果により、これらの新規合成化合物が、自閉スペクトラム症等の症状改善に関わる新規薬剤として将来有効利用されることが期待される。 論文情報:【Journal of Medic

    愛情ホルモン「オキシトシンより」も長時間作用・高効果が見込める化合物の合成に成功
  • 脳細胞の活動を深層ニューラルネットワークに写し取る手法を開発 東京大学

    東京大学の研究チームは、目で見た画像に対する視覚野の神経細胞の活動を深層ニューラルネットワークに写し取ることで、神経細胞の活動をコンピュータで詳細に解析する手法を開発した。 今後、人工知能が自動運転や医療診断など人命に関わりうる領域に活用されるにあたっては、人間を含む動物がどのように目で見た視覚情報を処理しているのかを解明することが重要だ。そこで研究チームは、次のようにして、目で見た画像に対する視覚野の神経細胞の活動を深層ニューラルネットワークに写し取り、コンピュータ上で詳細に解析する手法を開発した。 まず、動物に見せた画像と同じ画像を深層ニューラルネットワークに入力し、その画像に対する神経細胞の活動を教師信号として深層ニューラルネットワークを学習させる。次に、このニューラルネットワークの出力を最大化するように入力画像を更新することを繰り返す。出来上がった画像は、ニューラルネットワークに

    脳細胞の活動を深層ニューラルネットワークに写し取る手法を開発 東京大学
  • 水の持つ特別な性質について、東京大学が従来の通説を覆す発見

    東京大学生産技術研究所の田中肇教授らの研究グループは、これまで特異なガラス転移現象として説明されてきた水の動的異常性が、実はガラス転移と無関係であり、液体の正四面体構造形成に起因していることを初めて突き止めた。 この成果は、従来のガラス転移に基づく水の動的異常性に関する定説を覆しただけでなく、水の熱力学的異常と動的異常が、ともに正四面体構造形成という共通の起源に基づくこと明らかにした点にも大きなインパクトがある。 水は、人類にとって最も重要な液体であり、研究成果は、水の特異な性質そのもの理解に留まらず、生命活動、気象現象などとのかかわりの理解にも大きく貢献するものと期待される。 論文:【Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America】Origin of the emergent

    水の持つ特別な性質について、東京大学が従来の通説を覆す発見
  • 炭素だけの「ディラック準結晶」、大阪大学などが世界で初めて実現

    大阪大学の越野幹人教授らの研究グループは、2枚のグラフェンを30度の角度で重ねた薄膜を合成することで、ディラック電子による準結晶を実現することに世界で初めて成功した。研究グループには成均館大学、ニューヨーク大学上海、ハーバード大学、韓国高等科学院の研究者が参加している。 これまでに知られている準結晶は複雑な合金だったが、今回の研究で実現した準結晶の材料は炭素のみだ。炭素の2次元物質(厚さが原子1個分の薄膜)であるグラフェンは、炭素原子が蜂の巣格子に並んだ結晶。今回特別な合成方法により、グラフェン2枚が互いに30度で重なった系を生成することで、12回対称を持つ準結晶を実現した。12回対称とは360度回転させる間に同じ絵が12回現れる構造をいう。グラフェンの電子は、相対論的ディラック粒子とよばれる、質量のない特殊な粒子として振る舞う。今回の研究でディラック粒子による準結晶という新しい物理系を実

    炭素だけの「ディラック準結晶」、大阪大学などが世界で初めて実現
  • ダーウインの進化説を世界で初めて実証、アスパラガスの性決定遺伝子を発見

    ダーウインの進化説を世界で初めて実証、アスパラガスの性決定遺伝子を発見 大学ジャーナルオンライン編集部 奈良先端科学技術大学院大学の研究グループは、全ゲノム(遺伝情報)や遺伝子発現の網羅的な解析手法により、アスパラガスの雌雄を決める性決定遺伝子を世界で初めて発見した。今回の成果は、基礎生物学研究所、徳島大学、東北大学、九州大学、東京大学との共同研究による。 今回、高速シーケンサー(DNA解析装置)を用いて、雄株だけで発現している遺伝子を探した結果、転写因子をコードする遺伝子(MSE1と命名)を有するのは雄株のみで、Y染色体上にあることが分かった。また、MSE1遺伝子は花の発達初期におしべでのみ発現・機能していることも判明。ゲノム編集技術を用いて検討した結果、Y染色体にコードされているMSE1遺伝子が花の発達中におしべで発現して、正常なおしべを発達させることにより、雄花を形成させていることが

    ダーウインの進化説を世界で初めて実証、アスパラガスの性決定遺伝子を発見
  • 脳と脊髄を結ぶ運動の「神経地図」を新潟大学が発見、運動機能回復に重要な手がかり

    脳と脊髄を結ぶ運動の「神経地図」を新潟大学が発見、運動機能回復に重要な手がかり 大学ジャーナルオンライン編集部 新潟大学の上野将紀特任教授、シンシナティ小児病院の吉田富准教授らの研究グループは、脳と脊髄を結ぶ「皮質脊髄路」の中に多様な神経回路が存在することを発見し、それらが運動動作をコントロールする神経地図としての働きを示すことを明らかにした。 今回、研究グループは神経回路を解析する最新の技術を用いて、マウスの皮質脊髄路に存在する詳細な神経細胞の構成とその働きを探った。その結果、皮質脊髄路の中には、大脳皮質と脊髄にある多様な神経細胞種によって回路が作られていること、すなわち「神経地図」が内在していることを見いだした。これらの回路は、複雑な動作を行う際に、それぞれが異なる運動機能の要素をコントロールしていることが分かった。 これにより皮質脊髄路は単一の神経回路ではなく、別々の働きを持つ多様な

    脳と脊髄を結ぶ運動の「神経地図」を新潟大学が発見、運動機能回復に重要な手がかり
  • 「情報量は宇宙トンネルの最小断面積に等しい」、京都大学が量子的情報量の新公式を発見

    「情報量は宇宙トンネルの最小断面積に等しい」、京都大学が量子的情報量の新公式を発見 大学ジャーナルオンライン編集部 京都大学の梅滉嗣修士課程学生と高柳匡教授は、量子ビットの「純粋化量子もつれ」と呼ばれる情報量を計算する新しい幾何学的公式を発見した。超弦理論の理解に役立つと期待される。 この考え方にいたる契機となったのが、2006年に発見された笠ー高柳公式。これは「物体Aと物体Bの二つの間に共有される量子ビットの情報量(AとBの間にある相関)は、物体に対応する宇宙(注)の最小断面積に等しい」というもの。しかし、この公式で正しく情報量が計算できるのは、AとB以外には物体が存在しない場合(純粋状態)に限られるという制限があった。 AとBの領域にはこれらをつなぐトンネルを作ることができ、AとBの情報はこのトンネルの内部空間(Entanglement Wedgeと呼ばれる)に反映されることが知られ

    「情報量は宇宙トンネルの最小断面積に等しい」、京都大学が量子的情報量の新公式を発見
  • 生殖細胞は身体をメスにしたがる 名古屋大学らが新たな特質を発見

    哺乳類もメダカもY染色体を持っていると身体はオスになる。ところが、身体がY染色体を持っていようがいまいが、生殖細胞は身体をメスにしたがる働きを持っていることを、メダカを利用した実験で名古屋大学らが見出した。 例えば、メスのメダカで、生殖細胞が「精子になるか卵になるか」を決める遺伝子機能を破壊すると、生殖細胞は卵の代わりに精子を作り始める。しかし、それにも関わらず身体はメスになるという。このことは、生殖細胞は卵になろうが精子になろうが身体をメス化させる能力を保持していることを示す。 メスにおいて卵巣ができる過程とオスにおいて精巣ができる過程を比較してみると、メスでは卵巣が形成された直後に生殖細胞の数が増加して卵を作り始めるのに対し、オスでは精子を作り出す前に生殖細胞の増加が停止するという。研究で明らかとなった生殖細胞の「身体のメス化」という特質に着目すると、メスにおいては生殖細胞の数を増や

    生殖細胞は身体をメスにしたがる 名古屋大学らが新たな特質を発見
  • 早稲田大学と東京薬科大学、サリドマイドの脳梗塞に対する薬効メカニズムを解明

    早稲田大学と東京薬科大学、サリドマイドの脳梗塞に対する薬効メカニズムを解明 大学ジャーナルオンライン編集部 早稲田大学の澤村直哉研究院准教授らの研究グループは、東京薬科大学との共同研究で、サリドマイドの脳梗塞に対する有効性を確認し、その神経保護効果に関する詳細な分子メカニズムを明らかにした。 研究グループはこれまで、サリドマイドとの結合タンパク質としてセレブロン(CRBN)を同定。このタンパク質が細胞死に対する抑制効果を持つこと、また生体内の恒常性を維持するエネルギーセンサーであるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)がCRBNに直接結合することを明らかにしていた。脳虚血下ではリン酸化増幅が起きているとされ、AMPKの脱リン酸化が神経保護につながると考えられていた。 今回の研究では、サリドマイドの脳梗塞への有効性と細胞内シグナルを調べるために、ヒト脳梗塞の模倣モデルとして用いられるラッ

    早稲田大学と東京薬科大学、サリドマイドの脳梗塞に対する薬効メカニズムを解明
  • 東京大学、アナフィラキシーを抑える分子を発見

    東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授と中村達朗特任助教らの研究グループは4月28日、アナフィラキシー反応を起こしたマウスを用いてマスト細胞から産生されるPGD2が血管透過性の急激な上昇を抑えることで、過度なアナフィラキシーを抑える働きを持つことを発見したと発表した。さらに、PGD2が作用する受容体を突き止め薬物を用いたこの受容体への刺激がアナフィラキシーの抑制に有用であることを証明した。 今回の研究では、マウスにマスト細胞を活性化させるcompound 48/80という薬剤を投与したり、抗原-抗体反応を起こすとヒスタミンが産生され、皮膚の血管透過性の上昇とともに、血圧や体温の低下が引き起こされた。PGD2合成酵素(H-PGDS)を全身で欠損させたマウスではヒスタミンの産生量に変化は無かった。しかしアナフィラキシー症状が劇的に悪化した。そして、マスト細胞がPGD2を産生すること、

    東京大学、アナフィラキシーを抑える分子を発見
  • 「細胞のバネ」というDNAの新機能を発見 国立遺伝学研究所と長崎大学

    国立遺伝学研究所と長崎大学の共同研究グループは、細胞核の強さが核の殻の構造だけでなくDNA自体によっても生み出されていることを明らかにした。これまで遺伝情報のメモリデバイスとみなされてきたDNAに、核の弾性を支えるバネという役割を新たに提唱した。 研究グループは、直径1μmほどの細いガラス針を使ってヒト細胞の核を直接触り、力を掛けたときの核のゆがみを観察することで、核の強さを計測した。結果、核は力に対抗するための硬さと弾性を合わせ持っていることがわかった。さらに、凝縮している通常のDNAと、伸ばした状態のDNAおよび切れた状態のDNAから構成される核を計測し、比較することにより、DNA自体からも弾性力が生み出されていることを明らかにした。 この成果は、DNAが核のバネとして働くことで核の硬さを制御するという、DNAの新たな役割を提唱するものだという。また、細胞死やがん化などの異常に関わると

    「細胞のバネ」というDNAの新機能を発見 国立遺伝学研究所と長崎大学
  • 薬剤耐性菌を薬に弱くする方法、千葉大学が発見

    千葉大学真菌医学研究センターの萩原大祐特任助教、渡邉哲准教授、亀井克彦教授の研究グループは、重い肺感染症を引き起こす病原性真菌(カビ)の薬剤耐性メカニズムを遺伝子変異で無効にすることに初めて成功した。研究成果は英科学誌「サイエンティフィック・レポート」に掲載された。薬剤耐性菌に対する新薬開発に弾みとなりそうだ。 この薬剤耐性株は抗真菌薬の標的となるたんぱく質の発現が異常に高くなっている。このため、研究グループはたんぱく質発現に関与する因子の遺伝子を破壊した新株を作製したところ、薬剤耐性株に比べて抗真菌薬に対する感受性が8~64倍も増していることが分かった。これだけ感受性が増すと、抗真菌薬が効果を発揮できるという。 薬剤耐性を持つ真菌は既に、世界中に広がっているとみられているが、使用できる薬剤が限られ、十分な対策を取れていないのが現状。標的となるたんぱく質発現に関与する因子の機能を阻害する薬

    薬剤耐性菌を薬に弱くする方法、千葉大学が発見