長いあいだ書こうと思って、どうしても書けなかった。草思社から出ている『重要証人: ウイグルの強制収容所を逃れて』という本についてだ。 【写真】ソ連将校のレイプ、満州での飢餓 澤地久枝「すべてを話しましょう」 なぜ、書けなかったかというと、ちゃんと読めなかったからで、正直にいうと、今でも完璧には読んでいない。あまりにも残酷そうなところに差し掛かると、自己防衛本能が働き、「ここは読むな」と警告を発する。それだけで、私は怖くて震えそうになる。何度かトライしたが、警告はいつも同じところで来た。 同書は、サイラグル・サウトバイというカザフ人女性の話を、ドイツ人ジャーナリストのアレクサンドラ・カヴェーリウス氏がまとめたものだ。1976年、サウトバイ氏は東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で生まれた。ここには、カザフ、ウイグルなど多くの民族がいる。彼らはイスラム教徒だ。 サウトバイ氏はいわゆるエリートで
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 NTTサービスエボリューション研究所とNTTコミュニケーション科学基礎研究所の研究チームによる「在宅勤務が職場の関係性及びメンタルヘルスに及ぼす影響」(情報処理学会シンポジウムインタラクション2021論文集)は、在宅勤務を余儀なくされた同僚間のコミュニケーションを調査し考察した論文だ。 新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、多くの労働者はオフィス勤務から在宅勤務への切り替えを余儀なくされた。この論文は、在宅勤務が急速に普及する中、2つの問題があると指摘する。第1に、労働者を孤立させ、それが原因でメンタルヘルスを低下させること。第2に、人間関係の希薄化が仕事の創造性を低下させることだ。
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