非モテ人間は現代の被差別階級なのか? 異性を発情させるのがそんなに偉いのか? 文学を手がかりに、いっそ、非モテライフをエンジョイする方法を探っていこう! というわけで、プロレタリア非モテ女子、平林たい子の最終回。 「情熱紀行」(『平林たい子全集4』所収)は、いきなりヤミ医者での堕胎シーンから始まるショッキングな中編小説です。76ページ中、堕胎シーンはなんと6回。昔のほうが純潔教育が徹底してそうなのに…と意外な感じもしますが、性知識から隔絶された純朴な娘たちを手篭めにするのは赤子の手をひねるようなもの。戦後の物資不足でまともな避妊具もなかった時代、大きくなる腹を抱えてヤミ医者に駆け込む若い女子は少なくなかったようです。 周りのカワイコちゃんが孕まされる中、ブサイクな友子はそんな苦痛とはまったく無縁です。女だらけの職場に五年勤め、浮いた話一つない友子ははっきりと男に飢えているのでした。 ど