米国の利下げが取りざたされる中、利下げされた場合には円高が進むのでしょうか。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストの解説です。 円買い圧力跳ね返す策が残っていない日銀 米国の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は2018年12月まで段階的に引き上げられてきましたが、昨年末に株式市場が下落したことなどから、今年に入って利上げは休止されています。足もとでは米中貿易戦争に伴う景気の先行き不透明感に加え、トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求していることもあり、市場のテーマは利下げ時期に移りつつあります。金利先物から逆算した年内の利下げ確率は8割弱と高水準にあり、年内利下げが現実味を帯びていることが分かります。そこで本稿では米国の利下げがドル円の為替レートに与える影響を考えてみたいと思います。 仮に年内の利下げが現実となった場合、ドル円レートには円高圧力がかかる