日本弁護士連合会(日弁連)が10月に開催される人権擁護大会において「2020年までに死刑制度の廃止を目指す」との宣言を採択する準備を進めている。 その背景には袴田事件の再審開始決定で再燃した冤罪の懸念と、世界的な死刑廃止の潮流がある。 現在、死刑を廃止・執行停止している国は140カ国以上あり、死刑廃止をしていないのはG7諸国の中では米国と日本だけだと言われる。その米国でも死刑を廃止・執行停止している州が半数近くある。 死刑制度について倫理学的にはどのように考えるべきだろうか。 死刑制度の存廃論については、毎日新聞の記事(「あなたはどっち? 死刑制度は必要か」)がよくまとまっているので、これを用いて検討してみよう。二回に分けて検討することにして、最初は存続論について見てみたい。 死刑制度の存続論の検討上記の毎日新聞の記事では、死刑制度の存続論として7つの論拠が挙げられている。順に検討してみよ