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2020年6月23日のブックマーク (3件)

  • 芥川龍之介 兄貴のような心持 ――菊池寛氏の印象――

    bounoplagia
    bounoplagia 2020/06/23
    “いや、実を云うと、自分の問題でもこっちの身になって考えないと云う事を、内々自慢にしているような時さえある。現に今日まで度々自分は自分よりも自分の身になって、菊池に自分の問題を考えて貰った。”
  • 芥川龍之介 悪魔

    伴天連(ばてれん)うるがんの眼には、外(ほか)の人の見えないものまでも見えたさうである。殊に、人間を誘惑に来る地獄の悪魔の姿などは、ありありと形が見えたと云ふ、――うるがんの青い瞳(ひとみ)を見たものは、誰でもさう云ふ事を信じてゐたらしい。少くとも、南蛮寺(なんばんじ)の泥烏須如来(でうすによらい)を礼拝(らいはい)する奉教人(ほうけうにん)の間(あひだ)には、それが疑ふ余地のない事実だつたと云ふ事である。 古写(こしやほん)の伝ふる所によれば、うるがんは織田信長(おだのぶなが)の前で、自分が京都の町で見た悪魔の容子(ようす)を物語つた。それは人間の顔と蝙蝠(かうもり)の翼と山羊(やぎ)の脚とを備へた、奇怪な小さい動物である。うるがんはこの悪魔が、或は塔の九輪(くりん)の上に手を拍(う)つて踊り、或は四(よ)つ足門(あしもん)の屋根の下に日の光を恐れて蹲(うづくま)る恐しい姿を度々(たび

    bounoplagia
    bounoplagia 2020/06/23
    「私はその魂をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。が、さうと思へば思ふ程、愈いよいよ堕落させたいと云ふ心もちもして来ます」
  • 芥川龍之介 秋

    一 信子は女子大学にゐた時から、才媛(さいゑん)の名声を担(にな)つてゐた。彼女が早晩作家として文壇に打つて出る事は、殆(ほとんど)誰も疑はなかつた。中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと吹聴(ふいちやう)して歩くものもあつた。が、学校を卒業して見ると、まだ女学校も出てゐない妹の照子と彼女とを抱へて、後家(ごけ)を立て通して来た母の手前も、さうは我儘(わがまま)を云はれない、複雑な事情もないではなかつた。そこで彼女は創作を始める前に、まづ世間の習慣通り、縁談からきめてかかるべく余儀なくされた。 彼女には俊吉(しゆんきち)と云ふ従兄(いとこ)があつた。彼は当時まだ大学の文科に籍を置いてゐたが、やはり将来は作家仲間に身を投ずる意志があるらしかつた。信子はこの従兄の大学生と、昔から親しく往来してゐた。それが互に文学と云ふ共通の話題が出来てからは、愈(いよいよ)親しみが

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    bounoplagia 2020/06/23
    「彼女は従兄の帰りも待たずこの俥上に身を託した時、既に妹とは永久に他人になつたやうな心もちが、意地悪く彼女の胸の中に氷を張らせてゐたのであつた。――」