私は安田峰俊。プロのルポライターをやっている者だ。この年末年始、20代の後輩ライターに原稿の書き方を教える機会があったり、別の場でかなりヤベえ水準の新人の原稿を読まされる機会があったりしたので、思ったのである。ちょっと文章術を世間に伝えてみようと。 第1回記事で書いた通り、私は大学院修了後に就職に失敗してから、1文字1円以下のウェブライター→コンビニ売りの怪しい500円ムックの執筆者→裏モノ・実話誌ライター→ブログ本作者→週刊誌記者→微妙な中国ライター→わりと有名な賞の受賞歴を持つノンフィクション作家(わざと「ルポライター」を名乗っているが)、というクラスチェンジをおこなった。 ゆえに、これまでに詩と長編小説以外ならば、学術論文を含めてたいがいの文章を書いた経験がある。過去14年間の寄稿先は、倒産直前に天然水の販売に手を出していたイケていない編プロが作る無料冊子から、アカデミックな中国通の