鳴り物の激しいリズムに合わせて跳び、右手に持った提灯(ちょうちん)を突き上げ、カッと目を見開いた。県阿波踊り協会に所属する殿様連特有の男踊り「暴れ踊り」。輪の中で地検の検事・二ノ丸恭平さん(33)は、1メートル64と小柄ながら一際大きな踊りを披露する。徳島に赴任して3年目。今夏、「阿呆(あほう)」としての集大成を見せるつもりだ。 大阪で生まれ育ち、2001年に検事になって以来、各地の地検で殺人、贈収賄といった事件を数多く担当した。子育てもあって妻の親類が住む徳島への異動を希望し、07年4月に徳島地検に赴任。ある日、新聞の折り込みチラシで、無料の阿波おどり講座を知った。せっかく来た徳島の地。有名な阿波おどりを本格的に体験したくて、早速会場の体育館を訪ねた。 見よう見まねで腰を低く落とし、腕を真っすぐに伸ばして夢中で踊った。通うほどに楽しさが募り、指導していた同連の笹田清一連長(70)らから、