4月19日午後。阿久根市役所の本会議場から出てきた松元薫久(しげひさ)氏(33)が、20人を超す報道陣に囲まれた。 竹原信一市長(51)派市議である松元氏が市長不信任案を出したのだ。しかも松元氏を含む市長派4人は、採決で反対票を投じた。反市長派12人も反対したため16人全員が否決するという非常に分かりにくい事態になった。 提案者の松元氏が記者の質問の矢面に立った。「こんなことをして有権者に説明がつきますか」。松元氏は「反市長派になり代わって不信任案を出した。だけど私は本心では市長を信任しているから採決では反対した」と答えた。 報道陣が輪を解いたのは約20分後。「茶番劇だな」とつぶやく記者もいた。 だが、誰よりそれを感じていたのは松元氏だった。提出した本人だけは賛成しないとまずいだろうと、議場に入る直前まで、身近な支持者に電話で悩みを相談していた。 ■ 1週間前の12日。竹原市長