翻訳や通訳の過程で、何かが抜け落ちてしまうことはある。でも、国の公式な文書が外国語になったら、原文にない文章が続々登場、なんていうのは普通聞かない。 それがあった。福島第1原発の事故原因を調べた国会事故調査委員会の最終報告書。黒川清委員長による序文の英語版は、別の作品と呼べるくらい日本語版と違う。 例えば“肝”である事故の根本的原因。英語版は「日本文化、日本的慣習に根ざしたもの」とし、「権威に異を唱えない体質」「集団主義」や「島国根性」など挙げた。文化うんぬんは日本語序文にない。 そして英語版だけ「今回の事故で責任を負うべき立場の人が別の日本人だったとしても、結果は同じだっただろう」って。 なぜこんなことに? 日本外国特派員協会での会見で質問された黒川委員長は、「(英語版は)国際社会向けに書いた。日本人がこの内容を理解できると思う?」と記者に逆質問していた。結局、日本語版を英語に合わせて直