■「所詮ソバじゃねえか」という気持ちが強まる ソバはヒエやアワなどと同様、痩せた土地でもできる救荒食であるのに、なぜ蕎麦屋のソバは高いのか。近所の蕎麦屋で昼ごはん食べると、ヘタすると1500円ぐらいかかる。 その謎を解くという意味ではこの本は役に立たないとも言えるし役立つとも言える。ソバ粉の原価と盛りソバの値段の乖離とかには斬り込んではいない(タイトル見れば予想がつきましたが)。しかし、美学はたっぷりと紹介されている。「ある上品でうまい蕎麦屋。ソバ研究に熱心な人がひとりで食べにいって相席になった。先に食べて出ようとしたら相手に『相席していただいて、ありがとうございました』と言われた」(大意)。悪い話ではない。しかしこれ、言われて体が震えるほど感動するような話なのか(そう書いてある)。私だって気分よく食べ物屋で過ごしたいけどさ、その話を聞いた著者も「目頭が熱くなった」というが、そのような思い