関東大震災後,朝鮮人朴烈と共に検束,大逆罪で死刑宣告された金子文子(1903―26).その獄中手記には,無籍者としての生い立ち,身勝手な両親や,植民地朝鮮で祖母らに受けた虐待が率直に綴られる一方,どんなに虐げられても,「私自身を生きる」ことをあきらめなかった一人の女性の姿がある.天皇の名による恩赦を受けず,獄中で縊死.23歳.(解説=山田昭次) 忘れ得ぬ面影……………栗原一男 添削されるについての私の希望……………金子ふみ 手記の初めに 父 母 小林の生れ故郷 母の実家 新しい家 芙 江 岩下家 朝鮮での私の生活 村に還る 虎口へ 性の渦巻 父よ,さらば 東京へ! 大叔父の家 新聞売子 露店商人 女中奉公 街の放浪者 仕事へ! 私自身の仕事へ! 手記の後に 解説(山田昭次) 金子文子年譜