「ルート181」コラム シヴァンはなぜ「悪の陳腐さ」について質問したのか 「ルート181」第2部(中部)で、検問所で武装して警護している若い兵士に質問するシーンがある。そこで、ハンナ・アーレントの名前と「悪の陳腐さ」という言葉が出てくる。内容から考えて、質問しているのはイスラエル人監督のエイアル・シヴァンだろう。 ──「悪の陳腐さについて」は? 兵「書名? それともテーマ? 悪の陳腐さがテーマ?誰の言葉? どんな文脈で?」 ──ハンナ・アーレント 兵「知らないな」 ──それは ごく普通の人々 例えば、哲学書を読むような人々が行為に荷担し… 兵「極論か」 ──違う ささいな行為の積み重ねが巨悪を生む 兵「ささいな行為って? どんな行為だ?」 ハンナ・アーレントは1906年にドイツで生まれ、ナチスを逃れて、アメリカに亡命したユダヤ人哲学者。「悪の陳腐さ」は、アーレントの1963年の著作『イェル