昨年4月、308人の死者を出したイタリア中部地震(マグニチュード=M=6.3)で学者が住民への避難勧告を怠ったとして、地元検察当局による捜査が始まったと報じられた。地震予知を誤った専門家に法的責任はあるのか。【石塚孝志、ローマ藤原章生】 伊ANSA通信などによると、検察は学者7人が住民に避難勧告しなかったことが過失致死、傷害罪、共謀罪に当たるかどうかを捜査している。起訴できるかが焦点だ。 捜査対象は、地震発生6日前の09年3月31日、震源地のラクイラ市で開かれた「災害対策委員会」。国立地球物理・火山学研究所の教授2人、ジェノバ大教授、欧州地震技術訓練研究センターの教授らイタリア屈指の地震関係の学者7人と、防災庁幹部、ラクイラ市長らが出席した。 議事録によると、学者らは過去半年にわたりラクイラ周辺で続いている微震について「(この一帯の)断層の活動周期は極めて長く、(犠牲者約9800人を出した