「ファクト」よりも「フィクション」に近い 意外に思われるかもしれないが、ユヴァル・ノア・ハラリの著作における事実的な妥当性は、学者や主要な論文などによる鑑定をほとんど受けてこなかった。 指導教官としてハラリの博士論文「ルネサンス期の軍事回顧録:戦争、歴史、アイデンティティ、1450-1600年」の研究指導をしたオックスフォード大学のスティーヴン・ガン教授は、ハラリが本質的にファクトチェックのプロセスをどうにかして回避していると認めているが、これは驚くべきことだ。 「ニューヨーカー」誌のハラリに関する記事でガンは、ハラリが(特に『サピエンス全史』で)「『ここが少し間違っている、あそこも少し間違っている、と誰も指摘できないような大きな問いを立てよう』と言うことで」専門家からの批判を「飛び越えて」いるのではないかと推測している。「すべての事柄の意味や、長い期間にわたるすべての人々の歴史を専門にし