元猪木番記者が〝昭和〟の燃える闘魂を振り返る。今回は1日に死去したプロレス界のスーパースター、アントニオ猪木さん(享年79)の「怒り」について記す。対戦相手、ライバル団体、そして対世間…生前の猪木さんの原動力といえば「怒り」だったが、本当に怒ったときはどうだったのか――。 猪木さんが怒ったら怖い。だいたい「ムフフ」と笑っているので、その分、怒ったら倍怖い。私は直接怒鳴られたことはないのだが、私の原稿を読んだ猪木さんが部屋のカーテンを引きちぎらんばかりに怒りで荒れ狂ったと関係者から聞かされたことがある。何の原稿か? それはそのうち機会があれば。 ということで、1986年の5月ごろのこと。中国地方だったか九州のどこかでマスコミとの宴会が催されたことがある。テレビ収録だったのだろう。D紙、N紙、専門誌の記者・カメラマンが勢ぞろいしていた。そのうち、同じ店で外国人レスラーたちも飲んでいることがわか