『空を飛びたい』(1983年刊)の挿絵原画 撮影:上野則宏作家自身に「紙クズ」と言わしめる今回神奈川近代美術館 葉山で展示されている作品群。この表現には何重もの仕掛けが仕組まれているのだが、とりあえずは今回展示されることになったイラストレーションという表現形態を紐解いてみよう。 イラストレーションは絵画や彫刻のような純粋芸術とは異なり、応用芸術として位置付けられている。そのため、アートというジャンルにおいては用意さ れたテキストや詩、教科書、もしくはその他の文章と組み合わされた作品形態を取って初めて完成された「作品」となる。いささか、純粋芸術に比べ見劣りする ように思われるが、文学や報道、教育といったジャンルと融合することが可能な形式である。 一方でアートへの入り口という役割をも果たしうる。それは自己の表出が色彩、筆致、空間構成によって可能だからであり、テクストでイメージ化される 世界なり