宗教学者 島田裕巳氏というと、私の世代では、やはりオウムとの関わりで、良くも悪くも記憶に残っている。私が学生のころか、社会人になったばかりのころ、カルト教団と呼ばれる新興宗教がいくつか登場した。それらを宝島などで論説していたのが確か島田氏だったと思う。一連のオウム事件の結果、一時的に社会から抹殺される形になってしまっていたようだが、ここ最近また名前を見るようになってきた。本書もその一冊。 本書では、バブルとは一種の宗教ではないのかと問いかける。 社会学者の橋爪大三郎は、宗教を定義して、就業とは「必ずしも自明でない前提にもとづいて行動する、一群の人びとの活動の全体」であるとしている(『言語派社会学の原理』洋泉社)。「必ずしも自明でない前提」とは、神は実在するとか、仏は悟りを開いたといった、客観的な形で外側から証明できないことを意味している。まさに土地神話や株価神話は、本来自明ではないという点