15日に行われた第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局では、藤井聡太棋聖(19)が放った名手△9七銀に話題が集まった。 挑戦者の永瀬拓矢王座(29)も△9七銀に最強手で返し、もし藤井棋聖が実戦と違う手を指していたら、「幻の妙手」が生まれていたかもしれない。 「幻の妙手」とはどんな手なのか。どうやって藤井棋聖が回避したのか。 ここから解説していく。 退路封鎖の名手△9七銀 「第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局 主催:産経新聞社、日本将棋連盟」 ▲永瀬拓矢王座-△藤井聡太棋聖 116手目△9七銀まで 杏=成香(以下同様) 図面作成:筆者 なんといっても△9七銀のインパクトはすごい。 直前に守備の飛車を取らせて、さらに持ち駒の銀を捨てる。 それで勝利を引き寄せるのだから、なんとも鮮やかな手順であった。 この△9七銀は相手に取らせることで先手玉の逃げ道を封鎖する、「退路封鎖」と呼ばれる