福島の放射線の量を正しく理解してほしい 現地に足を運んでデータを積み上げた科学者、早野龍五さんに聞く 早野龍五 東京大学教授 2011年3月、福島第一原発の異変を感知した直後からツイッターによる情報発信を始めた東京大学理学部教授の早野龍五さんは、この3月に東大を定年退職する。現地に足を運び、「福島県南相馬市での給食検査」「ホールボディーカウンターによる内部被曝(ばく)調査」「乳幼児専用の検査装置(ベビースキャン)導入」など、さまざまな取り組みに身を投じてきた。6年間を振り返り、復興に寄せる思いを聞いた。(聞き手・伊藤隆太郎) ――なぜ先生は福島にかかわってこられたのでしょうか。 自分の専門は、原子物理学です。この20年間、ジュネーブのセルン(欧州合同原子核研究所=CERN)で、物質と反物質の対称性について研究してきました。これまで仁科記念賞なども頂戴し、学界ではそれなりの評価は受けてきまし