高校で習うレベルの化学反応といっても、その過程で起きていることを理解するには、ミクロな分子のさらに小さな電子の状態を明らかにする必要がある。私は化学現象を計算で明らかにすべく、コンピューターシミュレーションを用いた理論化学を研究している。 比較的簡単な計算でも、分子の電子状態を明らかにし、化学反応を解釈できる。大学の講義で学んだときは感銘を受けた。ならば、簡単な計算だけで化学反応や分子の「性質」を明らかにでき、「コンピューター上で新しい分子も創り出せるのではないか」と希望に胸を膨らませた。 しかし、その希望を失うまでに多くの時間を要さなかった。大学4年で理論化学の研究室に入って数日後、指導教官が研究テーマとして、ある分子を計算するよう机の上にメモを置いていった。「こんな小さな分子の計算が研究テーマ?」と疑問を感じながら、研究室の高性能コンピューター(当時)を使ってシミュレーションしたが、こ
![【理研が語る】次世代スパコン「新たなる希望」 一度は打ち砕かれた「コンピューター上で新しい分子創出」が視野に(1/2ページ)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5007e66be27196daa032d569d85621c7478b2bbb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FqNKr-NEliMVHgRIUw3dyVqf8Jjc%3D%2F1200x630%2Fsmart%2Ffilters%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2FXNVIPTFOKBLDBNCSQXYBAL6ZKA.jpg)