日本の革新力を弱めている背景には、「突拍子もない挑戦」がしにくい国全体の環境がある。ここには、企業の萎縮から世間の同調圧力、研究現場の体質まで複合的な要因が絡む。イノベーションを阻害する「変なことしてはいけない」症候群を治療する方法はあるのか。 「日本の研究の質は高く、なぜもっとノーベル賞を受賞していないのが不思議だ」。これは、20世紀最大の発見ともいわれるDNA構造の解明によって1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞した分子生物学者ジェームズ・ワトソン氏の言葉だ。 「若手研究者に権限与えず」 DNAは、二重らせんの骨格の中に、遺伝暗号となるアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基があり、原則として2種の塩基が対になっている。 今では教科書でもおなじみとなったこの構造を2人の共同研究者と共に突き止めたワトソン氏が、日本の科学技術の未来について語ったのは2
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