新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るう今春以降の「第4波」で、大阪府内では3~5月に1198人の死亡が確認された。累計の死者は8日時点で全国最多の2457人に上る。一切治療を受けられないまま自宅で亡くなった人も19人いる。大阪府庁を取材してきた私は、新型コロナの脅威を真正面から受け止めようとしてこなかった府の姿勢が、これだけの惨事を招いたと考えている。 楽観論で消えた「重症病床500床」 2020年4月1日、吉村洋文知事は記者会見で、感染拡大に備えた病床確保計画を公表した。1日1000人超の新規感染者が確認される事態を想定し、重症病床を最大500床確保するとした。府内の集中治療室(ICU)約600床の大半をコロナの重症者治療に割く計算で、吉村知事も「最悪のパターンですが、想定して取り組んでいく」と語っていた。 しかし、この計画は実現しなかった。…