映画「8年越しの花嫁」(佐藤健さん、土屋太鳳さん主演)で注目された「抗NMDA受容体脳炎」は、若い女性を中心に全国で年間推計約1000人が発症する難病だ。しかし、医療費助成の対象となる「指定難病」になっていない。過去2年連続で厚生労働省の指定難病検討委員会(医師12人、委員長=水沢英洋国立精神・神経医療研究センター理事長)の審査対象になったものの、「(指定難病の)要件を満たさない」として認められなかった。新年度の追加指定に向けて、検討委の審査は大詰めを迎えており、患者や家族らは「三度目の正直」に期待している。【照山哲史】 非公開の検討委会合……個別の病気の審査 詳細不明 「公開した場合に外部からの圧力や干渉などの影響を受けることで、率直な意見の交換や意思決定の中立性が損なわれる恐れがある」。1月25日に開かれた東京・霞が関の厚労省11階会議室での検討委会合は、こうした理由で非公開だった。会
医療機関で処方された薬を使って、「これって副作用かな?」と症状に違和感を感じた経験はありますか? どんな副作用がどの程度発生しているのかを迅速に把握し、解析するためのしくみが、ようやく開始しました。これまでの方法とどこが違うのでしょうか。 厚生労働省は2018年4月に、医療現場からレセプト(診療報酬明細書など)、電子カルテ、検査結果などを直接収集して、医薬品の副作用情報などの分析に利用できる「医療情報データベース」(MID-NET®)の本格運用を開始しました。 当面、対象となるのは全国の23病院(東大、東北大、千葉大、北里研究所など)の患者約400万人分。患者の病名、投与された薬やその量、期間、服用後にどんな症状が起きたのかといった情報を収集します。
身近な人に介護や看護が必要になったとき、あなたならどうしますか? 自分の仕事との両立ができなくなり、仕事を辞めるという選択をせざるを得なかった人が年間10万人近くに上ります。介護離職を防ぐためにも、利用できる社会的なサポートや会社などの制度を確認しましょう。 総務省の2017年の就業構造基本調査によると、家族の介護や看護のために仕事を辞める介護離職が、1年間で9万9100人に上ります。男女別では女性が7万5100人で8割近くを占め、男性は2万4000人です。 同調査の結果では、現在介護をしながら働く人も346万人に及び、5年前から55万人が増加。高齢者人口が増え続けるなか、両立を余儀なくされる人は今後も増える可能性が高いといえそうです。
母親が妊娠初期に「フタル酸エステル」と呼ばれる身近な化学物質に曝露すると、子どもが3歳になった時点で言語発達遅延がみられる可能性が高いことが、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学教授のShanna Swan氏らによる新たな研究で示された。研究の詳細は「JAMA Pediatrics」10月29日オンライン版に掲載された。 この研究は、スウェーデンと米国で実施された長期の観察研究のいずれかに参加した妊婦とその子どもを対象とし、それぞれ963組と370組の母子を対象に分析を行った。母親に子どもが理解している単語の数について尋ね、生後30~37カ月の時点で理解できる単語の数が50個以下の場合を言語発達遅延と判定した。 この記事は有料記事です。 残り1192文字(全文1503文字)
今年3月に発売されたインフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」=東京都内で2018年10月18日、鈴木敬子撮影 インフルエンザへの警戒が必要な季節がやってきた。手洗いなどの予防は欠かせないが、今年は、インフルエンザにかかってしまった時の治療が大きく変わりそうだ。厚生労働省は今年2月、塩野義製薬が開発したインフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」を承認した。薬は3月に発売され、今シーズンから本格的に使われる。ゾフルーザはこれまでの治療薬「タミフル」などとどう違うのか。気になる効果や副作用について、インフルエンザに詳しい廣津医院(川崎市)の廣津伸夫院長に聞いた。
理解してから接種する--「ワクチン」の本当の意味と効果【36】 風疹患者が首都圏を中心に急増し、大流行の兆しをみせています。風疹については過去に取り上げたので、新たな記事を書くつもりはありませんでした。しかし、ここ2カ月ほどで報告数が急増していること、現時点では首都圏に集中しているものの全国に広がりつつあること、そして、何よりも社会に正確な知識が浸透していないように思われることから、改めて風疹の記事を書くことにしました。 風疹を妊娠初期の女性に感染させることの重大さ まずおさえておかねばならない基本的知識は、「感染力が非常に強く、十分な抗体がなければ、他人のくしゃみやせきなどから誰もが簡単に感染する」ということです。ただし、感染しても健康な人なら数日間で完全に治ります。とはいえ、高熱と激しい倦怠(けんたい)感に苦しめられることも多く、その重い症状から風疹以外の病気が疑われることもあります(
第3期がん対策推進基本計画に盛り込まれた用語や制度に対する医師ら医療関係者の認識率について、国立がん研究センターのチームが調べたところ、医療者の半数も知らない項目があった。基本計画は、こうした情報を患者とその家族に提供するよう求めているが、現場の体制が十分でない実態が浮かんだ。 がん医療を巡る制度整備が急速に進んでいることが背景にあり、チームは、研修など医療関係者への支援が必要だと指摘している。 近年のがん医療では、新薬の審査を迅速化させる制度のほか、未承認薬を使用できる「患者申し出療養制度」など新しい制度が実施されている。しかし、医師や看護師ら医療関係者がどの程度用語や制度を認識しているかは分からなかった。
NHK連続テレビ小説「半分、青い。」。左耳を失聴したため、永野芽郁さん演じる楡野鈴愛は付け耳で音を聞こうとする=NHK提供 おたふくかぜと難聴【前編】 おたふくかぜにかかり、片方の耳が聞こえなくなる--。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」のヒロイン楡野鈴愛(にれの・すずめ)が発症した「ムンプス難聴」は、おたふくかぜにかかった人の数百人~1000人に1人が発症すると言われる病気です。実は子どもだけではなく、大人の発症も珍しくありません。有効な治療法はなく、おたふくかぜのワクチン接種が唯一の予防法ですが、接種率は3~4割程度にとどまっています。専門家は「今はワクチンで防げることをぜひ知ってほしい」と訴えています。最近の調査で明らかになったムンプス難聴の実態と予防について、3回に分けてお伝えします。 ヒロイン楡野鈴愛は小学3年の時、おたふくかぜが原因で、左耳の聴力を完全に失った。ドラマの中で、
ナッシュを演じたラッセル・クロウと、妻役のジェニファー・コネリー (C)2001 Universal Studios and DreamWorks LLC.All Rights Reserved. TM & (C)2012 DreamWorks LLC and Universal Studios. All Rights Reserved. 映画「ビューティフル・マインド」(2001年) まわりの世界がいつもと違って見えて不気味に感じ、周囲の物音がすべて耳に響くようになり、起こる出来事がすべて自分に関係しているように感じる。だれもいないのに、聞いたことのない人の声が聞こえ始める。他人につけ狙われているように感じ、日々の生活を苦痛に感じて、平穏な気持ちで職場や学校にいられなくなる。 典型的な症状としてそんな始まり方をするのが、精神科のなかでも重い疾患、統合失調症である。10代後半から30代で発
団塊ジュニアが就活をした2000年前後は、過去もっとも厳しい就職氷河期と言われた=2000年12月撮影 団塊ジュニア世代は昭和の高度成長期に生まれ、バブル崩壊後の大変動の時代を懸命に生きています。その彼らが高齢期を迎える2060年ごろ、首都圏で要介護者や死亡数がピークに達します。労働人口は今の4割減、介護要員もヘルパーも足りない社会が到来しそうです。今回は、ある団塊ジュニア夫婦「ノボルとヨーコ」の人生と42年後を描きます。
今年1月から制度変更に伴い軽症者は制度の枠外に置かれ 難病患者への医療費助成制度が今年1月に変更されたのに伴い、助成継続が認められなかった軽症の人が少なくとも39府県で約5万6000人に上ることが、毎日新聞の調査で明らかになった。全国では8万人前後になる計算で、患者側が断念するなど未申請のケースも合わせると十数万人が対象から外れたとみられる。軽症者が制度の枠外に置かれると実態が把握しづらくなり、急変時の対応遅れや治療研究の停滞が懸念される。 難病法が2015年1月に施行され、国は医療費を助成する病気の数を拡大した一方、全体の助成額を抑えるため軽症者を対象から原則外した。ただ、同法施行前から助成を受けてきた患者については、昨年12月末まで病状の軽重に関わらず助成を続ける3年間の経過措置が取られてきた。
高齢者の慢性心不全患者が急激に増加しています。疫学研究によると、2030年には心不全の患者数が130万人に達するという予測も出ています。高齢者の人口が増えるとともに、誰にとってもひとごとでない慢性病になるかもしれません。急増する高齢者の心不全対策として、日本心不全学会は2017年10月「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」(声明)を発表、一定の見解と方針が示されました。 心不全とは、さまざまな原因で心臓のポンプ機能が低下して、息切れやむくみが出るような状態をいいます。正確には病名ではなく、そのような心臓の状態のことで、いろいろな心疾患から心不全が起こります。
健康な人の皮膚上に常在している有用な細菌を採取し、患者の皮膚に移植するという治療が、アトピー性皮膚炎(湿疹)の画期的な治療法となり得ることが、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のIan Myles氏らによる第I相/II相試験から明らかになった。 この治療を受けたアトピー性皮膚炎患者では、皮疹などの症状が改善し、ステロイド外用薬の使用量を減らすことができたという。この研究結果は「JCI Insight」5月3日オンライン版に掲載された。 アトピー性皮膚炎は、QOL(生活の質)の低下、医療費の増加、喘息やアレルギー性鼻炎、食物アレルギー… この記事は有料記事です。 残り1835文字(全文2110文字)
患者の生活や治療を助けるスマートフォン用のアプリケーションが続々登場している。日々の健康状態を記録する簡単なものから、医師の問診と同様にスマホが医学的な根拠に基づく助言をくれる本格的なものまで、タイプはさまざま。アプリを公的医療保険が使える医療機器として広げていこうという動きもあり「医療の未来を変えられる」と関係者の鼻息は荒い。【清水健二】
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