格差拡大のメカニズムの説明において、ピケティはまず次の式を持ち出してきます。 この①式は、経済学の成長理論の一つであるハロッド=ドーマー式の援用です。さてこの式を現実の経済状況に照らし合して考えてみると「貯蓄率sはそのままで、成長率gが落ち低成長時代になると、資本/所得比率βが増加する」ということが読み取れます。すなわち次の構図1です。 実際図1を見ると、ヨーロッパ各国の成長率が低下し始めた70年代から、資本/所得比率βが増加していることがわかります。 加えて、次の式も示されます。 ここで出てくる資本分配率αとは「資本の総額Kに収益率rを掛けた資本所得rKが国民所得Yに占める割合」を意味します。 また前回r>gの回で示したように、歴史の変遷による資本収益率rの変化は見られません。ということは、資本収益率rが今のままで変わらないので、資本所得比率βが増加することは、資本所得のシェアであるαも
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