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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (40)

  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2022/03/02
    「まちがって公開されたとおぼしき、ロシアがウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた」
  • メネセス『フィデル・カストロ』:ごく初期の独自取材に基づく批判的なカストロ論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary メネセス『フィデル・カストロ』は、パリ・マッチ記者のメネセスによる独自取材のカストロ伝。シエラ・マエストラの山で、通訳なしで直接取材もしていて、非常にしっかりしたもの。彼はソ連系の社会主義団体シンパであり、必ずしもそれに与しないカストロにはきわめて批判的。 カストロは口先だけで、実際に動いているのはまわりの連中だ、というのがメネセスの評価。その後、カストロが南米に勝手に自分の勢力圏を広げようとしている点にもきわめて批判的。 親ソ的な主張がときどき鼻につくし、内容的には古びているものの、独自の視点がありプロパガンダから外れているという点ではおもしろいカストロ伝。 フィデル・カストロ (1969年) (角川選書) 作者:エンリケ・メネセス角川書店Amazon 図書館にあって検索でヒットしたが、1969年のだし、まあ大して期待していなかった。ところが、意外に

    メネセス『フィデル・カストロ』:ごく初期の独自取材に基づく批判的なカストロ論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2022/01/31
    「ソ連系の共産主義者にある程度は共感する立場からカストロなんてダメダメで大口叩きのろくなもんではなく自分では何もできないくせに他の南米諸国にちょっかいだそうとしてて全くどうしようもないぜと主張する本」
  • ピケティ東大講義:教授どもは機会を無駄にするな! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ピケティ東大講義、近所なのでのぞきにいきました。 プレゼンは、一昨日の有楽町マリオンでやったものとほぼ同じ。説明はちょっと詳しかった。しかし…… 司会者はあまり英語うまくなかったけど、まあ一応やるべき務めは果たしていたのでよしとしましょう。講義は少し時間が押し気味。問題は、講演のあとで「対談」と称する代物。 石田英敬教授(図書館の副館長だって)なる人物が出てきて、これ以上はないというくらい中身の薄いスライドを並べて、それをド下手な英語で要領を得ない説明で塗り固める。「ピケティ教授の研究は、長期に着目した」「世界の難問に取りくんでいる」等々、それぞれ5秒で言える(そして言わずもがなの)内容を、うだうだうだうだ5分に引き延ばし、会場からは苦笑嘲笑苛立ちが目に見えるくらい濃厚にたちのぼっているのも気に留めず、35分しかなかった残り時間のうち、20分をこれで浪費。「学生はみんな、萎縮せずに積極的に

    castle
    castle 2015/02/17
    「ピケ:経済学は歴史や実証を重視すべきで、数理モデルのお遊びになっちゃいけないよ。学者は頭がいいわけじゃなくて、データを集めたりする暇がある、というかそれをやるために社会からお金をもらってるんだから」
  • ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日の状況はちがう、日はまれに見る平等社会、日は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味

    ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2015/02/17
    「ある一面だけ(たとえば一つのグラフ)を見るだけだと、色々誤解が生じ兼ねない~それを利用して実態を歪めようとする人も出てくる」「(日本の)上位10%の取り分をみると、ここ数十年で激増しているのがわかる」
  • ピケティ『21世紀の資本』:せかすから、頑張って急ぐけれど、君たちちゃんと買って読むんだろうねえ…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Note (2014.08.04) What follows are some rants by the Japanese translator of "Capital in the 21st Century." I realized that it can be taken out of context (and that some people actually do such things), so I guess I need to explain what's going on. The whole piece was intended to serve as a half-joke expectation management. In Japan, there was some false rumor about the timing of the Japanese trans

    ピケティ『21世紀の資本』:せかすから、頑張って急ぐけれど、君たちちゃんと買って読むんだろうねえ…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/07/12
    「各国で、富の格差は拡大してます、ということ。そしてそれが今後大きく改善しそうにないということで、なぜかというと経済成長より資本の収益率の方が高いから~その対策としてはもっと累進課税をしましょう、と」
  • 岩田規久男の講演会に行ってきた! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    注:写真と文はあまり関係ありません。 岩田規久男は、日銀副総裁になってから一部の人に引きこもりとまで揶揄される露出の少なさで、人前に顔を出すのは久々という感じ。で、今日は如水会館で講演があったので、のぞいてきたよ! ……といっても、先日の黒田総裁講演もあるので、そーんなに期待していなかったんだけれど、結果的にはかなりおもしろかった。 講演体 客は、月曜午前という時間帯なので仕方ないことだが、暇そうなジジイ比率がきわめて高く、これが後で禍根を……でもあとは結構まじめそうな人々。で、中身だが、まあ四の五の言わずにこの配布資料を見ろや。どんな話をしたかわかるでしょ。日銀の公式発表です。 2014.06.30 岩田規久男講演会資料とメモ(pdf 880kb) でも、いろいろな指標をまとめて並べてくれているので、わかりやすい。あと、フィリップス曲線は明解ですな。あと、「日銀のコミットメントとは、

    岩田規久男の講演会に行ってきた! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/07/08
    「デフレ下では企業が現預金ばっか持つようになる。デフレ解消は、まずその現預金取り崩しにつながる。それがなくなるまで銀行融資は増えない」「こんな低金利の国債がやたらに売れるほうが本来は不健全」
  • ゴードン『ミシンと日本の近代』(つづき):マイクロファイナンス、グローバリズム、「主婦」と家庭と社会、その他なんでも! - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    ミシンと日の近代―― 消費者の創出 作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行この商品を含むブログ (9件) を見る 昨日から引き続き、『ミシンと日の近代』。今和次郎の考現学を通じた洋装の発達とミシンの普及(そして各種服飾学院みたいなものの発達)のからみあいから、こんどは戦時中のモンペ(お約束の但し書きはつけません)の考案とナショナリズムとミシン文化の関連、そして戦後の蛇の目ミシンなどによるシンガー社のコピー商品の発達とそれに対する異様なまでのグローバル企業シンガーミシンの対抗策(うまくいかないが)。そして、最後に 1950 年代の、ドレスメーカーとしての主婦の役割再検討と、その急激な変質。 昨日、読みかけのときに書いた、1960 年代後半からの急激な裁縫/ミシン離れについても、当然きちんと記述がある。ミシンも

    ゴードン『ミシンと日本の近代』(つづき):マイクロファイナンス、グローバリズム、「主婦」と家庭と社会、その他なんでも! - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/03/09
    「ミシンの補修部品の劣化コピー生産→経験による品質向上→そうした部品メーカーの増加と裾野拡大→それを集めて本体まで作れるようになる→やがてオリジナルをも脅かす水準に、という発展サイクルが~よくわかる」
  • ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ミシンと日の近代―― 消費者の創出 作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行この商品を含むブログ (9件) を見る 読んでいる途中だが、抜群におもしれーわ、これ。ミシンの普及は掃除機や洗濯機と同じく、女は家庭で男は仕事、みたいな単純な性分業の一環として捕らえられがちだけれど、実は全然ちがっていて、ミシンによる内職を通じた女性の社会進出(自活)の一貫でもあり、またそれを使った日の繊維産業の発達の一貫でもあった。さらにシンガーミシンのための割賦販売というのが日における割賦販売の先駆であったんだけれど、ミシンの役割から見てこれはつまり、一種のマイクロファイナンスとしても機能していたわけだ。 さらにそれは、日における和装洋装論争にも関連しており、いまや見る影もない婦人誌(『主婦の友』とか)も一方でミシン販売に加担

    ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/03/06
    「ミシンの普及は~女は家庭で男は仕事、みたいな単純な性分業の一環として捕らえられがちだけれど、実は全然ちがっていて、ミシンによる内職を通じた女性の社会進出の一貫でもあり~一種のマイクロファイナンスと」
  • カルロス・フエンテス『我らが大地 (テラ・ノストラ)』: その5 読了!! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Terra Nostra (English Edition) 作者:Fuentes, CarlosFarrar, Straus and GirouxAmazon やったー、昨日から100ページほど残していた部分完読! 読み終わったぜー! 最後の部分は、エル・セニョールの死……なんだが、そこになぜか、現代に生まれ変わったインディオの老婆としての旧女王(狂女)と、だれだかわからない人物との現代メキシコシティにおけるからみが入る。そのだれかが、南米の歴史をすべてその場で反芻し、無限の可能性があった新世界がキリスト教に支配され、アメリカ主義や共産主義に支配されるまでを体験したあと、アメリカの走狗としてメキシコを支配する兄を殺すところで場面はまた死にかけのエル・セニョールに戻る。 もはや財政的に破綻し、臣民たちに施しを求めるほどに貧窮しつつ、まだエル・エスコリアルにこもるエル・セニョール。最後に

    カルロス・フエンテス『我らが大地 (テラ・ノストラ)』: その5 読了!! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/03/02
    「テーマ:直線的な時間/進歩史観/固定的秩序と変化の拒否/二項対立/米国資本主義やソ連共産主義はダメで、南米原住民とかの神話的な円環的時間/変化と多様性/三の豊穣といったものがいいんだ、というもの」
  • 根本『物語 ビルマの歴史』:通り一遍で重要な点に踏み込めていないのでは? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    物語 ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで (中公新書) 作者: 根敬出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/01/24メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見る はーいみなさんこんにちは。これを書いているのはミャンマー行きの飛行機の中。直行便で乗り換えなしで行けるのは当にありがたいね。 で、この飛行機の中で読んでいたのが根敬『物語 ビルマの歴史』(中公新書)だ。去年、ミャンマーには何回か出かけたけれど、その歴史や現状についてまとめて読んだことはなかった。ちょうどこのをもらったので、いい機会だから読んでおこうと思ったわけ。 書は、ビルマ/ミャンマーの概要と、主に英国植民地時代以降の近現代史をまとめただ。悪いではないが、絶賛したいわけでもない。まあ概説としては使える。でも一部では無用に細かすぎ(日の植民地時代の話とか昔のエリートの話とか、アウンサンス

    根本『物語 ビルマの歴史』:通り一遍で重要な点に踏み込めていないのでは? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2014/03/02
    「(現在は北朝鮮と何の関係もないかのような記述だが)カンボジアやラオス等で暗躍する日本のパチンコ屋経営の銀行がミャンマーにも進出している事からも窺える通り、北朝鮮とはいまだにかなり強い接触はあるはず」
  • 新都市はつらいよ:世界の新都市の苦境 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Starting from Scratch: Urban Dreamscapes (The Economist 2013/9/7 p.22) マスダールシティの建設計画が2006年に発表されたときには、SF古典『デューン:砂の惑星』から飛び出してきたように思えたものだ。アブダビの砂漠の中、世界最大の化石燃料備蓄の上に、世界初のカーボンニュートラルで廃棄物ゼロの都市を造ろうというのだから。だがこの都市は直接砂の上に建つのではない。あらゆる建物は持ち上げたデッキの上に建つ。そのデッキの下で市民たちは、自走ポッドに乗ってビュンビュン飛び交うことになる。さらに、灼熱の温度の下でも市民たちは快適に感じる。これは巧妙な都市計画のおかげで、たとえば日陰の多い狭い街路が、涼しい砂漠の風が吹きぬけるように配置されたりするわけだ。 発表から6年後の未来になると、この未来は前ほどすばらしいものではなくなっている

    新都市はつらいよ:世界の新都市の苦境 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2013/09/25
    「「建てればみんな来る」が呪文となった。でも金融危機以後にみんな正気に返って現実的になったことで~「少しスピードダウンして計画を見直す」よう促したのだ、と同社の親分アーメド・アルジャベールは語る」
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

    castle
    castle 2013/09/10
    「北京オリンピック施設は殆どが廃墟」「それが役にたつとか施設整備とか景気刺激とかインフラとか、そういうインチキなお題目でそれを正当化しようとしないでほしい。これは高価なお遊びの無駄遣いでしかない」
  • 数年前のできごとなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    数年前に、確かあれは何かアート系の宴会だったと思うんだが、顔を出したことがある。ぼくはあまり有名ではないし、あまり知った顔もいなかったんだけれど、まあ何人かとちょろちょろ立ち話をするうちに、ぼくより少し若そうな――そうだな、五つくらい若かったのかな――人物とちょっと話をはじめて、しばらくとりとめもない会話をしたあとで、当然ながら名刺交換とは相成った。相手は、どっかの大学の英米文学の講師かなんかで、だったらぼくのことも聞いたことくらいはあるだろう、とこちらの名刺を出したところ…… 相手は突然顔色を変えた。 「え! 山形浩生さん、なんですか? あなたが??」 ぼくは一般にかなり怖い人だと思われているらしいので、ときどき外見が普通のおっさんなので驚かれることはある。でもその顔色の変え方と口調は、そういう純粋な驚きではなく、むしろ顔面蒼白のヤバイ感じの驚きだった。 そして彼はいきなり 「それはまず

    数年前のできごとなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2013/03/12
    「ぼくにほめられたことで、この著者が懇意に私淑している業界の一部の人が~「おまえは山形とつるんでおるのか」とか下衆な勘ぐりをして、この著者が痛くもない腹を探られることになったらかわいそうだなあ、と」
  • 三浦『シビリアンの戦争』:シビリアンコントロールは本当に有効か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき 作者: 三浦瑠麗出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/10/19メディア: 単行購入: 13人 クリック: 615回この商品を含むブログ (14件) を見る 書は、ぼくたちの多くが慣れ親しんでいる軍や戦争に関する基的な考え方に大きな疑問をつきつけるだ。従来の発想では、軍人は戦争大好きだとされる。だから平和を愛する文民が彼らの活動を常に監視し、抑えなくてはならない。これが文民統制(シビリアンコントロール)の発想だ。 でも近年の多くの戦争の実態はちがう、と著者は指摘する。軍人たちは、戦闘で真っ先に死傷するのは自分たちだ。だから勝算のない無意味な戦争にはきわめて慎重だ。むしろ文民たちのほうが、独裁政権打倒とか対テロとか、その時の勝手な思い込みと勢いで、軍人たちを(民主主義のおかげで!)戦争に引きずり込んでいる、と。すると、文民

    三浦『シビリアンの戦争』:シビリアンコントロールは本当に有効か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2013/02/06
    「(戦闘で真っ先に死傷する軍人は)勝算のない無意味な戦争には極めて慎重」「(実戦経験があると慎重になりそうだが)中国はそうはなっていない」「自分が戦争に行く見込みの低い人ほど勇ましいことを言いたがる」
  • いま訳してる本ときたら…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    もう次々にを訳してまして、いまは意識の生成と心脳問題みたいな話のをやっているんだが、心脳問題とかのというのは絶対に面倒くさくならざるを得ない。どうして意識が生じるかを考えようとすると、外部からは意識があるかないかは今のところ漠然と推測するしかない状態で、一方自分は自分に意識があるかないか、たぶんわかるわけだけれど、でも意識が生じているかどうかを判断する時点ですでにそれを判断する意識を想定するしかなく、すると意識がどの時点でどうやって生まれたかは知りようがない。 さて、今回のは、何やら画期的な枠組みなるものを持ち出して、ある心的状態は、ある脳の活性化状態と等価であるという仮定を置き、そしてあとは脳の状態がこうなっている、よって意識がある、みたいな話をしようとしているんだが…… それってインチキじゃね? 心的状態と脳の活性化状態が等価だと言った時点で、その活性化状態だとなんで意識がある

    castle
    castle 2013/02/06
    「自分は自分に意識があるかないか多分わかる訳だけれど、でも意識が生じているかどうかを判断する時点で既にそれを判断する意識を想定するしかなく、すると意識がどの時点でどうやって生まれたかは知りようがない」
  • 笠井『新版テロルの現象学』:左翼運動を清算するといいつつ未練を残し、アニメに逃げた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    新版 テロルの現象学――観念批判論序説 作者:笠井 潔発売日: 2013/01/31メディア: 単行 はじめに しばらく前にちょっと嫌みなことを書いて、やっと編を読みました。あー、そういえばこんな話だったねー、と思うと同時に、正直いって現代的な価値があるだとは思わなかった。笠井一人が、自分だけのために必要としていた整理でしかなく、それを他人が共有すべき必然性は特にないと思ったのだ。それは昔もそう思ったし(たとえばこのオローク『ろくでもない人生』あとがきを参照)そして、いままた読んで、なおさらその思いを強くした。 いやそれどころか、書は自分がやろうとしたいちばん根のところをごまかして、自分が批判したその枠組みにまさにすっぽりはまりこんでいると思う。今回、新版になってついたとんでもなく長くて混乱した増補は、まさにそのごまかしを隠しきれなくなった結果だ。久々に手に取って、ぼくはそう思っ

    笠井『新版テロルの現象学』:左翼運動を清算するといいつつ未練を残し、アニメに逃げた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2013/02/06
    「自分の理想や思想が正しいなら、それを受け入れない社会は間違っていて~したがってぶち殺してもいいんだ、と」「そのハイになった革命が自己目的化してます」「革命温存のための小細工を引き延ばしているだけ」
  • ラートカウ『自然と権力』:いろいろ事例は豊富ながら、結局なんなのかというのが弱くて総花的。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    自然と権力―― 環境の世界史 作者: ヨアヒム・ラートカウ,海老根剛,森田直子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/07/10メディア: 単行 クリック: 58回この商品を含むブログを見る 書の基的な主張というのは、別に環境問題というのは20世紀の工業化で初めて生じたもんじゃない、ということ。多くの人は、昔の人々は自然と調和した美しい生活を送っていて、それが工業化により大規模な自然破壊その他が生じた、と思っている。だから、江戸時代に戻れとかビクトリア時代に戻れとか経済成長が低かった時代に戻れとか三丁目の夕日とか、くだらない妄想にふけることがエコなんだ、と思っている。でも実際には、あらゆる時代のあらゆる文明は、自然と調和なんかしておらず、一時的な定常状態を維持できることはあっても、それは絶えず変わり続け、人はそのたびに環境破壊などに苦しみ続けてきた。 そして各種の環境に関わ

    ラートカウ『自然と権力』:いろいろ事例は豊富ながら、結局なんなのかというのが弱くて総花的。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2012/08/08
    「別に環境問題というのは20世紀の工業化で初めて生じたもんじゃない~実際には、あらゆる時代のあらゆる文明は自然と調和なんかしておらず、一時的な定常状態を維持できることはあっても、それは絶えず変わり続け」
  • ガードナー『専門家の予想はサルにも劣る』:よい本。特にエーリックの醜態は見物。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    専門家の予測はサルにも劣る 作者: ダン・ガードナー,川添節子出版社/メーカー: 飛鳥新社発売日: 2012/05/23メディア: 単行購入: 5人 クリック: 210回この商品を含むブログ (5件) を見る 専門家の予想というのはなかなか当たらん、それどころか専門家はみんなすでにわかっていることをもとに一定方向へのバイアスがかかるから、予想外の原因が出てきた瞬間に一斉にはずれる、という。だもんで、サルのダーツ投げより当たる確率は低かったりする。ついでにカオス理論や複雑系で、計算できない部分もあるのにできるような顔をするから…… というわけで、議論としては違和感はない。おっしゃる通りで、たまに予測とかやったりする身としては忸怩たるもんがある。ただ、予想はふつうに当たってるときには、「そんなの当然」といわれて注目されず、予想外の方向にものが動いてはずれたときにだけ注目されるという悲しい運命

    ガードナー『専門家の予想はサルにも劣る』:よい本。特にエーリックの醜態は見物。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    castle
    castle 2012/07/07
    「専門家(の予想)はみんなすでにわかっていることをもとに一定方向へのバイアスがかかるから、予想外の原因が出てきた瞬間に一斉にはずれる」「予想はふつうに当たってるときには、「そんなの当然」と注目されず」
  • ウォルツァー『政治的に考える』:理念と現実のせめぎあい - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    政治的に考える―マイケル・ウォルツァー論集 作者: マイケルウォルツァー,デイヴィッドミラー,Michael Walzer,萩原能久,齋藤純一出版社/メーカー: 風行社発売日: 2012/04メディア: 単行購入: 3人 クリック: 400回この商品を含むブログ (5件) を見る いま、現実の政治に希望を抱くのはむずかしい。目先の出来事におたつき、世間の顔色をうかがうばかりの人々が、己の地位と利権だけにしがみついて、その場限りの言い逃れを連発。一方でそれを批判する識者たちも、時に形骸化したスローガンの連呼や現実から乖離した抽象論に堕す。だがそもそもこの現実世界の政治とは何をするものなのか? それを考え続けてきた政治哲学者マイケル・ウォルツァーの論文をまとめたのが書だ。邦訳も多いとはいえ(いやそれ故に)多岐にわたる彼の議論を包括的に見渡すのはなかなか面倒だ。書はそれを可能にしつつ、現実

    ウォルツァー『政治的に考える』:理念と現実のせめぎあい - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    castle 2012/07/07
    「己の地位と利権だけにしがみついて、その場限りの言い逃れ~一方それを批判する識者達も~現実から乖離した抽象論に堕す」「何か普遍的な原理を勝手に想定して、それを安易にあてはめて事足れりとしてはならない」
  • コリアー『収奪の星』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    収奪の星―― 天然資源と貧困削減の経済学 作者: ポール・コリアー,村井章子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/03/20メディア: 単行購入: 4人 クリック: 149回この商品を含むブログ (8件) を見る 資源は途上国にとって諸刃の剣だ。収入は増えるが、利権と汚職の温床になったり、資源収入への過度の依存で国民の勤労意欲まで消えたり。この「天然資源の呪い」を指摘した一人が、書の著者コリアーだ。 でも、あらゆる国は何らかの天然資源を持つ。それをきちんと活用して、天然資源の呪いから脱するには? それが書のテーマだ。 その指摘は単純ながら重い。まず、天然資源の呪いは行政能力の問題だということだ。自国の中で政治家の汚職を監視し、国富を国民に還元する仕組みが弱いので、資源の利益が外国や汚職政治家に吸い上げられたり、無駄な投資が起きたりする。 さらに著者は、その背後にある思想の

    コリアー『収奪の星』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    castle 2012/06/07
    「天然資源の呪いは行政能力の問題。自国の中で政治家の汚職を監視し、国富を国民に還元する仕組みが弱いので、資源の利益が外国や汚職政治家に吸い上げられたり、無駄な投資が起き」「重要なのは、価値を残すこと」