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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (12)

  • 第一種過誤を恐れる物理学者、第二種過誤を恐れる経済学者 - himaginary’s diary

    CERNが光速を超えるニュートリノを観測したという今話題の発見に事寄せて、Econospeakでピーター・ドーマンが経済学者と物理学者の統計的過誤への態度の違いについて論じている。 以下はその概要。 今回のOpera(Oscillation Project with Emulsion-Tracking Apparatus)チームの発見について、プロジェクトに関わっていたメンバーの中には自分の名前を出さないように要請した者もいたという。 その理由は、これだけ常識を覆す発見だと、誤りである可能性もまた大きいからである。測定誤差が12メートルあれば、結果は引っ繰り返る。 後に誤りと判明した発見に自分の名を連ねた物理学者は、経歴に回復不能に近い傷を負う。以前説明したように、自然科学者は第一種過誤(偽陽性)を非常に深刻に受け止めるのだ。反面、第二種過誤(偽陰性)はそれほど問題にならない。 一方、経済

    第一種過誤を恐れる物理学者、第二種過誤を恐れる経済学者 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2023/11/23
    「後に誤りと判明した発見に自分の名を連ねた物理学者は、経歴に回復不能に近い傷を負う~自然科学者は第一種過誤(偽陽性)を非常に深刻に受け止めるのだ。反面、第二種過誤(偽陰性)はそれほど問題にならない」
  • 2020-21年のコロナ以外の超過死亡:政策選択の付随的被害か? - himaginary’s diary

    というNBER論文をケイシー・マリガンらが上げている。原題は「Non-Covid Excess Deaths, 2020-21: Collateral Damage of Policy Choices?」で、著者はCasey B. Mulligan(シカゴ大)、Robert D. Arnott(Research Affiliates LLC*1)。 以下はその要旨。 From April 2020 through at least the end of 2021, Americans died from non-Covid causes at an average annual rate 97,000 in excess of previous trends. Hypertension and heart disease deaths combined were elevated 32,0

    2020-21年のコロナ以外の超過死亡:政策選択の付随的被害か? - himaginary’s diary
    castle
    castle 2022/06/10
    (Casey B. Mulligan(シカゴ大)とRobert D. Arnott(Research Affiliates LLC)の論文で)「高血圧と心疾患による死は合わせて32,000増加~ドラッグによる死は特に警戒すべきトレンド」「統計的生命価値を1兆ドルと見積もって」
  • 金融の軍拡競争 - himaginary’s diary

    についてイングランド銀行のアンドリュー・ホールデン(Andrew Haldane)金融安定化担当理事*1が講演した(Mostly Economics経由)。 ホールデンによれば、金融においてそのような軍拡競争が発生する要因は3つあるという。 情報の非対称性 どれだけリスクが取られているかを評価するのは情報の非対称性により難しいため、投資家らはランキングといった間接的な尺度に頼ることになる。 満期変換 確実な短期借り入れの不確実な長期貸しという銀行のバランスシートの構造上、投資家は、いざという時に真っ先に取り付け騒ぎの列の先頭に立とうとする。それにより彼らは流動性の軍拡競争を惹起している。 勝者総取り 金融サービスの中には業界トップの独占市場に陥りやすいものがある。 こうした金融の軍拡競争は別に目新しい話ではないが、その今日的な例としてホールデンは以下の3つを挙げている。 レバレッジによる株

    金融の軍拡競争 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2012/04/28
    「1.レバレッジによる株式リターンの引き上げ競争と、エクイティオプションを通じた報酬引き上げ競争/2.高頻度取引によるスピード競争/3.銀行取り付けの際の流動性への競争が安全性への競争に置き換わった形に」
  • 不換紙幣には政府の裏付けは必要無い - himaginary’s diary

    ということを示す興味深い事例を研究した論文をDavid Andolfattoが紹介している。 以下はAndolfattoによる論文からの引用部分*1。 One of the most astounding phenomena of the domestic market is the continued circulation of the old Somali bank notes. The Somali currency has had no central bank to back it up since the bank was destroyed and looted in 1991. Nonetheless,the currency has maintained value, and has floated against other foreign currencies th

    不換紙幣には政府の裏付けは必要無い - himaginary’s diary
    castle
    castle 2011/09/01
    「中央銀行が破壊されて以来、ソマリアの通貨には裏付けとなる中央銀行が存在しない。それにも関わらず、通貨は価値を維持し続け、ローカル市場で自由に取引される他の外貨と変動相場の下で交換を続けてきた」
  • Rowe「重要なのは中銀の政策そのものではなく人々がそれをどう捉えるかだ」 - himaginary’s diary

    17日エントリで、Roweの最近のWCIブログエントリは中銀のコミットメントの問題を扱っている、と書いた。そこでの彼の結論は、上記のエントリのタイトルに集約されるのだが、同ブログの11/15エントリで彼は、実際に簡単なモデルを構築してその問題を論じている。以下では彼のモデルとそれに基づく彼の主張を紹介してみる。 彼のモデルは、(彼の言葉を借りれば)ごく普通のニューケインジアン的/ネオヴィクセル的なもので、下記のフィリップス曲線とIS曲線を想定している。 フィリップス曲線 πt=0.25(yt-y*) + 0.5πt-1 + 0.5E(πt) πはインフレ率、yは実質GDP、y*は潜在GDP、E(π)は予想インフレ率。 ここではバックワードルッキングな要素とフォワードルッキングな要素の割合を半々にしている。実証的にはバックワードルッキングな要素はインフレの慣性を表すために必要とされるが、こ

    Rowe「重要なのは中銀の政策そのものではなく人々がそれをどう捉えるかだ」 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/11/22
    「(インフレ率・名目債券価格・実質債券価格のどれか)判別できない」「外部の観察者がこの経済の構造と自然利子率を把握していたとしても、観察される事象に関してこの3つの政策目標は等価な結果をもたらすから」
  • 米国がビザンティン帝国に学ぶこと - himaginary’s diary

    Foreign Policy誌にエドワード・ルトワックが、米国はローマ帝国ではなくビザンティン帝国を範とすべし、と書いている(The Big Picture経由)*1。 ルトワックに言わせれば、ローマ帝国の容赦無い拡張主義や外国人支配や全面戦争の手法を米国が真似たら、却って没落を早める、むしろローマ帝国よりも8世紀長続きしたビザンティン帝国の方を手にすべし、とのことである。また、ローマ帝国はあまり戦術・戦略に関して文献を残さなかったが、ビザンティン帝国はすべて書き残しているという。ルトワックは過去20年間にそれらの文献を渉猟して、以下の7つの米国への教訓を引き出したとの由。 戦争は可能な限り避けよ。ただし、いついかなる時にも戦争が始められるかのように行動せよ。訓練を怠ってはならず、常に戦闘準備態勢にあるべきだが、戦争を望んではならない。戦争準備の最大の目的は、戦争を余儀なくされる確率を減

    米国がビザンティン帝国に学ぶこと - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/11/22
    「戦争は可能な限り避けよ。ただし、いついかなる時にも戦争が始められるかのように行動せよ」「敵の情報を心理面も含めて収集せよ。また敵の行動を継続的に監視せよ」「政権転覆は勝利への最も安上がりな方法」
  • 経済学者は感情で動く - himaginary’s diary

    クルーグマンが経済論争に関して面白いことを書いている。以下はその拙訳。 ゴドウィンの法則の拡張提案 ゴドウィンの法則――ネットでの議論がある程度長引くと、相手をヒトラーに喩える輩が必ず出てくる――は、もし実際に相手をナチに喩えることに走ったら、議論に負けたことになり、もはやまともに相手にされなくことを意味する、と解釈されることが多い。私はその解釈に全面的に同意する。(それは共和党の重要人物の意見をもはや真剣に受け止めるべきではないことを意味するのか? 答えはイエスだ) しかし、倫理的にナチの喩えと同等の喩えは数多く存在し、それらはやはり同じ扱いを受けるべきである。私がここで提案したいのは、 ある分野での一層の政府の行動を求める声――雇用創出、医療改革、その他諸々――に対し、ソ連の例を引き合いに出して反応する人 もしくは 適度なインフレないしドル安が受け入れ可能という提案に対し、ジンバブエの

    経済学者は感情で動く - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/11/19
    「「嘘も百回言えば真実となる」とある通り、強情を張り通せば知性の高い人も彼の言うことは正しいのかも、と思わせてしまう場合がある。それこそナチスからオウム真理教まで、そうした例は歴史上枚挙に暇がない」
  • 名目論争 - himaginary’s diary

    では最近リフレを巡る議論が久し振りに再燃したが、米国でもそれの写し絵のような議論が進行していた。 きっかけは、今月初めのデビッド・ベックワースによる以下の図。 これは、米国の名目国内最終需要の前年同期比のグラフだが、1960〜70年代は順調な伸びを示していたのに対し、80年代半ば以降は停滞し、最近の金融危機で大きく落ち込んでいる。ベックワースはこの図により、需要の名目値から経済を見ることの重要性を強調している。 また彼は、OECDの集計値ベースの名目GDPの伸びの推移も示しているが、以下の通り、上図とほぼ同様の推移を示している。 これらの図は、米経済ブログ界で注目を集めたとのことだ。当然のごとく、かねてから名目成長率を金融政策の目標に置くべき、と主張しているスコット・サムナーは非常に肯定的に反応し、エントリにも賛辞のコメントを寄せている。 一方、否定的な反応を示したのが、他ならぬクルー

    名目論争 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/11/12
    「インフレ期待が崩落してなかったら現在の名目支出は今より安定していた。インフレが将来も恒久的に昂進していく思えば、人々は今日お金を使うであろう。即ち貨幣需要は減少し、貨幣の流通速度は上昇する」米欄も。
  • 米国で初めて女性労働者数が男性労働者数を上回った本当の理由 - himaginary’s diary

    というエントリが先週10/24のワシントンブログに立てられていた(原題は「The Real Reason That - For the First Time Ever - More Women are Working Than Men」)。 そこでは、ジョン・F・ケネディの姪であり、アーノルド・シュワルツェネッガー夫人であるマリア・シュライバー(Maria Shriver)の報告について触れている。そのシュライバー・レポートによると、史上初めて、米国の労働者の半数以上が女性になったという。また、共稼ぎも含め、米国の3分の2の家庭で母親が稼ぎ手になっているという。 これは一見、男女平等の証として慶賀すべきことのように見えるが、必ずしもそうではない、とワシントンブログは指摘する。というのは、実はこの現象は、金融危機の影響による失業が男性に集中した結果だからだ。また、女性労働者が増えたといっても

    米国で初めて女性労働者数が男性労働者数を上回った本当の理由 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/11/01
    「この現象は、金融危機の影響による失業が男性に集中した結果だ。また女性労働者が増えたといっても、その多くは低賃金労働者である。従って、これは男女平等の証などではなく、米国の失業危機の深刻さを表すもの」
  • 行動経済学の陥穽 - himaginary’s diary

    ティム・ハーフォードが面白い話を紹介している。 行動経済学でよく出てくる実験に、「最後通牒(最終提案;ultimatum)」ゲームというのがある。このゲームでは、被験者Aが10ドルを渡され、別の被験者Bにいくら渡すか尋ねられる。もしBがその分け前を受け取れば良し、そうでなければ両者とも何も貰えない、というゲームである。もし両者が合理的経済人ならば、AはBに1セント渡し、Bはそれを(ゼロよりましなので)受け取る。しかし、実際の実験ではそうはならない。 また、その派生としてJack Knetsch、ダニエル・カーネマン、リチャード・セイラーが導入した「独裁者(dictator)」ゲームでは、Aが決めた分け前をBは拒否できない。その場合でも、多くの場合、Aは2〜3ドルをBに渡す。 もう一つの派生ゲームである「ギフト交換(gift exchange)」では、BがAに渡すことでスタートし、Aがお返し

    行動経済学の陥穽 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/10/18
    「いずれの結果も、一貫して公平志向を示す。必要以上に相手に与え、不公平な申し出は拒否し、気前の良い申し出には気前良く応じる」「被験者が実験だと知らされていない場合には、はるかに利己的な行動を取った」
  • ユンカーの誤謬 - himaginary’s diary

    Nick Roweが、WCIブログで、ユンカーの誤謬というものを紹介すると同時に、その誤謬も実は正しい場合があるのかもしれない、という興味深いエントリを書いていた。 ユンカーというのはプロイセン時代の地主貴族のことである(cf. Wikipedia)。ユンカーの誤謬というのは、彼らが土地に投資を振り向けたために産業への投資が滞ったのだ、という説で、フリッツ・マハループによって論破されたという。この誤謬は、以前にタイラー・コーエンやブライアン・キャプランもブログで取り上げた。 ユンカーの誤謬が誤謬たる所以を、Roweは合成の誤謬という観点から解説する。 個人のレベルでは、投資が土地購入の割をうということはあり得る。個人は自分の貯蓄を 新規の実物投資財(教育、新築住宅) 企業への貸出(=企業の実物投資財[機械など]の購入) 土地、中古住宅、既存の有価証券購入 に振り向けることができるが、前二

    ユンカーの誤謬 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/09/02
    「推論の過程が誤っているからといって、結論も誤っているとは限らない」「人々が自分の富Wを目標値W*に近づけるという消費関数。WがW*に満たなければ人々は貯蓄する。WがW*を超えれば人々は貯蓄を取り崩す」
  • タレブ「新政権はオバマの経済政策を真似てはいけない」 - himaginary’s diary

    タレブが政権交代により次期首相になるかもしれない人に公開書簡を送った。ただし、日の話ではなく、英国保守党のデビッド・キャメロン党首への書簡(ワシントンブログ経由)*1。 以下はその拙訳。 親愛なるデビッド(そう呼ばせて頂けるならば)、 貴方と貴方の党は、負のブラックスワンから断絶され、正のブラックスワンから恩恵を受ける機会にすべての人が恵まれた弾力ある社会に向けた唯一の希望かもしれません。というのは、私は、オバマ政権がこの金融危機を修復し、将来の再発を防ぐ能力に絶望しているからです。私は同政権が創り出している危険、および、今回の危機に責任のある当の経済エスタブリッシュメントが政権を支配していることに愕然としています。 ブラックスワンとは何でしょうか? それは低い確率で起きる影響の大きな出来事で、稀にしか起きず、起きる状況も不安定なため、リスクとリターンという科学的手法では評価することがで

    タレブ「新政権はオバマの経済政策を真似てはいけない」 - himaginary’s diary
    castle
    castle 2009/09/02
    「危機に責任のある経済エスタブリッシュメントが政権を支配している」「ブラックスワンとは低い確率で起きる影響の大きな出来事」「相互依存が深まるにつれ、出来事の原因を辿るのが難しくなる」「債務の危険性」
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