もっと深刻なのは、別居している親同士で親権、監護権に争いがある場合である。 我が国の家庭裁判所は、「子どもを、どちらが育てるか」について争いがある場合、「これまで誰が、主に子どもを見て来たか」「現状どちらが子どもを育てているか」「その状況が安定しているかどうか」「その状況で、子どもに著しい悪影響はないか」を見る。そして、現状に大きな問題がないのであれば、現状を維持したい、というのが裁判所の基本的な考え方である。 つまり、たとえば、父親が子どもとともに自宅を出、実家に帰った。父親は実家の協力を得て、子どもを育てており、その状態が6ヶ月続いていて、子どもも元気にしている。となると、この状態をわざわざひっくり返し、子どもを自宅、つまり母親の元に戻しましょう、という判断はなかなか出ない。 ところが、これが連れだしてから1週間しか経っていないとか、10日しか経っていないという場合、裁判所は「子どもを