(2020年9月27日東京新聞に掲載) 夫婦の別居や離婚に際して、同意なく子どもを連れ去られ、一方の親が子どもと会えなくなるケースが増える中、子どもと引き離された父母が、連れ去りを防ぐための立法を怠った国の不作為を違憲だと主張し、前例のない国家賠償請求訴訟を起こした。憲法13条(幸福追求権)などを根拠に、子どもと生き別れにならない法の整備を国に求める。(佐藤直子) 夫が不倫、暴力…そして3人の子どもたちを 「今は3人の子と離れて暮らしています。なぜ母親の私が子どもたちと会えないのでしょうか」。長女(12)、長男(11)、次女(8つ)の母である原告の会社員ユカリさん(38)=仮名=が法廷で訴えた。7月下旬、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論では、30~50代の原告14人のうち、2人の女性が裁判への思いを語った。 ユカリさんは夫に子どもたちを連れ去られ、3年以上会えていない。きっかけは不倫を重ね